日本最大級のトレーディングカードゲーム(TCG)専門店「晴れる屋」、熱狂的コミュニティを生み出す強固なOMOリユースECを「EC-CUBE」で構築
複雑な要件も100%叶える。
ベンダー依存を脱却し、自社専用EC基盤を。
日本最大級のマジック:ザ・ギャザリング(MTG)の専門店として知られる晴れる屋。2021年の売り上げは約40億円程度だったが、現在では220億円を見込むまでに急成長を遂げている。同社のEC戦略において中核を担っているのが、2019年より導入しているオープンソースECプラットフォーム「EC-CUBE」だという。一般的なカートシステムでは対応が不可能な「膨大かつ複雑な商品バリエーションの管理」「独自開発ツールとのシームレスなデータ連携」「実店舗との高度なOMO(店舗・EC連携)」を実現し、売り上げを伸ばし続けている。他社ASPやSaaSカートを経験した同社が、なぜ「EC-CUBE」を選び続けるのか。晴れる屋の成長の秘訣を含めて、専務取締役コーポレート本部本部長の杉田拓也氏と、法務・リスク管理部部長の松橋季土氏に聞いた。
お客様情報
株式会社晴れる屋
日本最大級のトレーディングカードゲーム(TCG)専門店を全国展開。
トレーディングカードゲームの販売、イベントの企画立案、運営、サポート、情報ウェブサイトの運用・保守を行っています。
トモハッピーが創業
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会社概要から教えてください。
- 杉田 様:
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晴れる屋はオーナーであるプロカードゲーマーの齋藤友晴(トモハッピー)が自宅で始めた通販事業が起源です。創業以来、長らくMTGの単一タイトル専門店として展開してきましたが、2021年に「ポケモンカードゲーム」、そして「デュエル・マスターズ」の専門店をそれぞれ立ち上げ、現在は“専門店の集合体”としてTCG業界にアプローチしています。
私が入社した2021年夏頃の売上高は約40億円でした。当時、代表の交代と内部体制・業務フロー・物流の全面的な見直しを行い、前期(2026年4月期)は約164億円、今期(2027年4月期)は220億円の着地を見込んでいます。
「店舗6:EC4」に変化
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220億円のうち、ECが占める割合はどれくらいでしょうか。
- 杉田 様:
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かつては「店舗4:EC6」で推移していましたが、リアル店舗での需要が非常に強いポケモンカードの取り扱いが本格化したことで、現在は全社で「店舗6:EC4」と店舗の比率が逆転しています。とはいえ、売り上げ規模が220億円に達する見込みですので、通販単体でも約90億円規模を占めています。
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取り扱っているトレーディングカードゲーム(TCG)という商材の特殊性と、EC構築における難しさについて教えてください。
- 杉田 様:
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TCGは、一般的なアパレルや日用品のECとは比較にならないほど商品管理が複雑です。例えば同じ「山」というカード1枚をとっても、「言語(日・英・独・伊・仏など最大十数言語)」「傷の有無(状態ランク)」「通常版かFoil(特殊な光沢)仕様か」「ボーダーレス・別イラスト版」など、無数のバリエーションが存在します。新弾が発売されるたびに、同じカード名で突然バリエーションが12種類に跳ね上がることも日常茶飯事です。
現在、MTG関連だけで全社在庫は約34億円、枚数にして推定1000万枚に及びます。この膨大なSKUと独自のバリエーション設計は、一般的なSaaS型カートやASPの仕様では到底収まりきりません。
圧倒的拡張性が決め手
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「EC-CUBE」を導入した決め手は何だったのでしょうか。
- 杉田 様:
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当社は創業初期の国産ASPカート、その後のパッケージカートを経て、2019年頃に「EC-CUBE」へ移行しました。決め手は、データベース設計からUI/UXまでフルスクラッチ感覚で自由に手を入れられる「圧倒的な拡張性」です。
TCG専門店として目指すのは、「どのサイトを探してもないカードが、晴れる屋なら絶対に見つかる」状態を作ること。「EC-CUBE」であれば、自社の特殊なカードデータベース構造に合わせて商品マスタを自在に拡張でき、新弾発売に伴う急激な仕様変更にも柔軟に対応できます。「商材の特性に合わせてシステム側を100%最適化できる」という点が、他社カートにはない「EC-CUBE」最大の強みでした。
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具体的にどのような独自機能を実装されていますか。
- 松橋 様:
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最も特徴的なのが、外部ツールと連携させた「デッキ構築機能」です。TCGプレイヤーがウェブ上でカードデッキを自由に考案・登録できるツールを開発し、「EC-CUBE」の商品データベースとAPIで連携させました。
ユーザーは画面上でデッキを組みながら、「持っていないカード」があればそのまま晴れる屋のECカートに一括で投入し、ワンクリックで購入できます。「コンテンツ(デッキ作成・情報収集)」から「購買」へと一切のストレスなく誘導する完璧な導線が完成しました。大会の優勝デッキ検索機能なども含め、単なる“買い物カゴ”にとどまらない「情報ポータル」としての役割を「EC-CUBE」を基盤に実現しています。
スマホ全盛時代に異例の「PC利用率50%」を支えるUX
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ECサイトの利用環境について、特徴的な傾向はありますか。
- 杉田 様:
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実は、当社のサイトは約50%のユーザーがパソコンからアクセスしています。スマホ全盛の現代において、これは異例の数字です。
- 松橋 様:
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理由は明確で、圧倒的な商品点数を見比べたり、数十枚のカードを一気に検索して購入したり、あるいは独自の「デッキ構築機能」を使い込んだりするには、大画面のパソコンが適しているからです。単なる買い物ではなく、ディープな情報収集や複雑な作業を伴う熱狂的なユーザーの要求にストレスなく応えるUI/UXを構築できているのも、データベースからデザインまで自由に手を入れられる「EC-CUBE」の恩恵と言えます。
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買取業務や在庫確保の面でもシステム連携が活躍しているそうですね。
- 松橋 様:
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はい。他社にはない「買取金額の上限なし」という強みにより、段ボールが山積みになるほど全国から送られてくるカードを処理しています。月間500万枚規模にのぼるカードの査定を効率化するため、自社開発の画像認識カメラシステムを運用しています。カメラにカードをかざすだけでAIがカード名とエキスパンションを自動判別し、買取データを作成して「EC-CUBE」に即時連動させる仕組みです。これにより、専門知識が浅いスタッフでも高度な査定業務を担当できるようになりました。
また、「EC-CUBE」上で「入荷通知機能」も独自に強化しています。在庫切れの商品に対してユーザーが入荷通知を登録できる機能ですが、単に通知を送るだけでなく、「どのカードに何人のリクエストが集まっているか」のデータを仕入れ(買取)の優先度設定にダイレクトに活用しています。ニッチなカードを求めるユーザーの声を逃さず、在庫の回転率を最大化することに成功しています。
月間1億円の店頭受取。店舗レジと連携した高度なOMO
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リアル店舗とECをつなぐ「OMO」の取り組み内容は。
- 杉田 様:
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当社は全国に実店舗を展開し、高田馬場店には300席の大型プレイスペースを設けるなど、「人が集まるコミュニティの場」を重視しています。このリアル店舗と「EC-CUBE」を有機的に結びつけています。
代表的なのが「店頭受取」サービスです。「週末の大会で使うカードをあらかじめECで注文しておき、当日に店頭で受け取ってそのまま出場する」という文化が定着しており、店頭受取経由の流通額だけでも月間約1億円規模に達しています。さらに2021年から、店舗レジと「EC-CUBE」の「会員・ポイント統合」を実施しました。「EC-CUBE」の会員マスタを“正(マスタ)”とし、マイページに表示される会員バーコードを店舗レジで読み取ることで、実店舗とECのポイント・購買履歴をリアルタイムに相互同期させています。これにより、「ECで貯めたポイントを使って店頭限定の高額カードを買う」「店頭大会で得たポイントで後日ECからパーツを補充する」といった循環が生まれ、LTV(顧客生涯価値)の大幅な向上に寄与しています。
なぜSaaSカートではなく「EC-CUBE」なのか?
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ちなみに、新規事業であるポケモンカード専門店「晴れる屋2」などでは他のプラットフォームを使用していますが、比較してみてどうですか。
- 杉田 様:
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新規事業の立ち上げ時は、スピードと初期投資を抑えるためにSaaSカートでスモールスタートする判断もあります。しかし、事業規模が拡大し、より深い専門性を追求しようとすると、必ずSaaSのプラットフォームの壁にぶつかります。
「晴れる屋」というブランドに期待されるのは、「ここに来れば深い情報があり、あらゆるカードが手に入る」という究極の専門店体験です。デッキ構築やイベントとの連携、複雑な商品状態管理など、ユーザーが求めるレベルが高くなればなるほど、規格化されたASPやSaaSでは要件を満たせなくなります。「他社カートを試したものの、限界を迎えて最終的に『EC-CUBE』に行き着く」というのは、専門性の高いEC事業者にとって必然の流れではないかと実感しています。
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現在、ECにおいて変化していこうとしていることは。
- 松橋 様:
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システムのさらなる進化に向けて、エンタープライズ版へのリプレイスを進めています。これまでオープンソースの利点を活かして高度なカスタマイズを重ねてきた反面、いわゆる“魔改造”状態になり、過去の仕様やドキュメントがブラックボックス化してしまうという課題を抱えていました。機能追加やメンテナンスにリスクが伴うようになっていたのです。
そこで今回は、開発元であるイーシーキューブに直接プロジェクトに入っていただき、公式主導でエンタープライズ版へのリプレイスを進めています。
- 杉田 様:
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開発元であるイーシーキューブ社自らが設計・実装を担当してくれる安心感は絶大です。“メーカー純正”の手厚いサポートのもと、将来にわたって保守性の高いクリーンな設計書を再構築できています。
さらに今回の移行では、イーシーキューブ社が推進する「AIを活用した開発手法」がフルに活かされています。既存の複雑なソースコードをAIで徹底的に解析し、「どこを修正するとどこに影響が出るか」を網羅的に洗い出してくれるため、大規模かつ難易度の高いリプレイスでありながら、安心安全にプロジェクトが進行しています。オープンソースの自由度に加え、公式のエンタープライズサポートと最先端の開発技術が組み合わさったことで、これ以上ない盤石な基盤が整いつつあります。
EC×実店舗の力で、TCG文化を次の世代へ
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今後の事業展開とECの展望について教えてください。
- 杉田 様:
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昨今のTCG業界は転売の過熱が取り沙汰されることもありますが、当社の根底にあるのは一貫して「ユーザーファースト」の精神です。目先の利益を追いすぎることなく、国内のプレイヤーが適正な価格で遊べるよう、圧倒的な在庫量と買取体制でカードを守り続けています。目指すのは、47都道府県全てに店舗とコミュニティーを作り、親子でTCGを楽しめる場を広げること。
目先の2〜3年の利益を追うのではなく、5年後、10年後を見据えなければなりません。MTGの第1世代である40〜50代が10年後に引退したとき、次の世代が育っていなければ市場自体が縮小してしまいます。だからこそ、私たちは全国への実店舗出店を加速させています。晴れる屋が出店していない地域に出向き、対戦する場所とコミュニティーを提供する。親子で参加できるイベントを開催し、家族ぐるみで遊べる場を作る。ポケモンカード事業を展開しているのも、若い世代への参入障壁を下げ、そこからMTGなど奥深いカードゲームの世界へリーチしてもらうためです。
目指すのは、「カードゲームを始めたい、続けたいと思ったとき、最後に行き着く場所」。ECと店舗の両輪でコミュニティを広げ、市場そのものを育てるモデルを追求していきます。
※本記事は日本ネット経済新聞様より許可を頂き転載したものです。