オムニチャネルシステムとは?構築のステップ・メリット・成功事例を徹底解説

#ECの知識

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顧客の購買行動が多様化する中、「実店舗とECサイトで顧客データや在庫が分断されている」「機会損失を防ぎたい」といった課題を抱えていませんか?

各チャネルが独立した状態(サイロ化)を放置すると、顧客満足度の低下や業務の非効率を招き、企業の成長を阻害してしまいます。

本記事では、オンラインとオフラインをシームレスに繋ぎ、最適な顧客体験(CX)を提供する「オムニチャネルシステム」の基礎知識から、必須機能、導入手順を解説します。さらに、多くの企業が直面する「システム連携の壁」を突破するための最適なプラットフォーム選びまでを網羅的にお伝えします。

目次

オムニチャネルシステムの基本概念と定義

オムニチャネルの定義

オムニチャネルとは、実店舗、ECサイト、SNS、カタログ、コールセンターなど、企業が持つすべての顧客接点(チャネル)を統合し、どこからでも一貫した購買体験を提供する戦略およびその仕組みのことです。

顧客は「今は店舗にいる」「今はECサイトを見ている」といったチャネルの違いを意識することなく、シームレスに商品を探し、購入し、受け取ることができます。オムニチャネルをシステムとして実現することで、顧客データや在庫データがリアルタイムで一元化され、企業側も高度なマーケティング施策を展開できるようになります。

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類似用語との明確な違い

オムニチャネルを正しく理解するために、混同されやすいマーケティング用語との違いを整理します。

シングルチャネルとは

シングルチャネルとは、企業が顧客に対して一つの販売経路しか持たない状態を指します。実店舗のみで営業しているお店や、ECサイトだけで商品を販売しているD2Cブランドなどが該当します。

マルチチャネルとは

マルチチャネルとは、実店舗、ECサイト、カタログ通販など、複数の販売経路を持っている状態です。オムニチャネルとの最大の違いは「チャネル同士が連携していない点」にあります。各チャネルが独立して機能しているため、実店舗の在庫をECサイトから確認したり、ECサイトで貯めたポイントを実店舗で使ったりすることはできません。

クロスチャネルとは

クロスチャネルとは、複数のチャネル間で在庫や顧客データの一部が連携されている状態です。例えば、ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取れる仕組みなどが該当します。マルチチャネルから一歩進んだ形態ですが、すべてのチャネルが完全に統合されたオムニチャネルほどの包括的な顧客体験の提供には至っていません。

O2O(Online to Offline)とは

O2O(Online to Offline)は、WebサイトやSNS、アプリなどのオンラインから、実店舗(オフライン)へ顧客を誘導するマーケティング施策です。ECサイトで実店舗で使える割引クーポンを配布する手法が代表的です。チャネルの統合を目指すオムニチャネルとは異なり、あくまで「オンラインからオフラインへの一方向の送客」を目的としています。

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なぜ今、オムニチャネルシステムが注目されているのか?(背景)

消費者行動の変化(スマホ普及・SNSでの比較検討)

オムニチャネルシステムが求められる最大の理由は、スマートフォンの普及による消費者行動の劇的な変化です。

現代の消費者は、実店舗で実物を見たあとにスマートフォンでレビューを検索し、最も条件の良いECサイトで購入するといった行動を日常的に行っています。小売業に限らず、製薬業界において医師がWebメディアやWeb講演会で情報収集したあとにMR(医薬情報担当者)と面談を行うなど、BtoB領域でもオムニチャネル化の波は押し寄せています。顧客の複雑な購買プロセスに対応するためには、すべてのチャネルを統合するシステム基盤が重要になります。

顧客体験(CX)とシームレスなコミュニケーションの重要性の高まり

商品やサービスの機能的な価値だけで差別化することが難しい現代において、顧客体験(CX)の質が企業の競争力を左右します。

多くの顧客は、企業との接点において「自分のことを理解してくれている」という一貫したオムニチャネルコミュニケーションを求める傾向にあります。ECサイトで閲覧した商品の情報が実店舗のスタッフに共有されていれば、より的確な接客が可能になります。シームレスなコミュニケーションを実現するシステムは、顧客ロイヤルティを向上させる強力な武器となります。

デジタル技術の進化とデータ統合の必要性

クラウド技術やAPI連携、AIの進化により、膨大なデータをリアルタイムで統合・処理することが技術的に容易になりました。

企業は各チャネルで発生する購買データ、行動履歴、在庫情報をバラバラに管理するのではなく、一つのシステムで統合管理することで、迅速な経営判断を下せるようになります。データ統合の必要性が高まったことが、オムニチャネルシステムの導入を後押ししています。

オムニチャネル化(システム導入)がもたらす4つのメリット

顧客体験(CX)の向上とリピーター・ファン創出

オムニチャネルシステムを導入することで、顧客は自分の都合に合わせて最適な購買チャネルを自由に選択できるようになります。

「ECサイトで在庫を確認してから店舗へ行く」「店舗で試着し、荷物になるからECサイトで購入して自宅に配送する」といった柔軟な買い物体験は、顧客のストレスを軽減します。一貫した質の高い顧客体験(CX)の提供は、ブランドへの信頼感を高め、長期的なリピーターや熱狂的なファンの創出に繋がります。

機会損失の防止(ショールーミング対策)と売上・LTVの向上

実店舗で商品を確認して他社の安いECサイトで購入される「ショールーミング」は、小売業にとって大きな課題です。

オムニチャネルシステムによって自社のECサイトと店舗をシームレスに繋げば、顧客を自社の経済圏に留めやすくなります。また、店舗に在庫がない場合でも、その場でECサイトの在庫を引き当てて自宅へ配送する手配ができれば、売り逃し(機会損失)を防ぐことが期待できます。結果として、顧客単価やLTV(顧客生涯価値)の向上に貢献します。

高度な分析によるパーソナライズ化と需要予測の実現

オムニチャネルシステムは、企業全体のデータを一元管理するハブとして機能します。

オンラインとオフラインの顧客データや購買履歴を統合することで、「どのような属性の顧客が、どのチャネルを横断して購買に至るか」といった精緻なオムニチャネル分析が可能になります。この分析結果を活用すれば、個別の顧客に最適化されたパーソナライズ・マーケティングや、精度の高い需要予測に基づいた在庫の適正化が実現しやすくなります。

業務効率の合理化と現場の負担軽減

システムが統合されることで、バックオフィス業務や店舗スタッフの業務負担が大幅に軽減されます。

例えば、ECサイトと実店舗の在庫管理が別々に行われていると、手動での在庫調整や欠品時の顧客対応に多大な工数がかかります。オムニチャネルシステムによって在庫や顧客情報がリアルタイムで自動連携されれば、二重入力の手間や確認作業が削減され、スタッフは本来の業務である「質の高い接客」に集中できるようになります。

オムニチャネルシステムに求められる必須機能

顧客IDの統合(オンライン・オフラインの顧客情報一元化)

顧客IDの統合は、オムニチャネルを実現するための最重要機能です。

実店舗の会員証アプリとECサイトのアカウントを共通のIDで紐付け、氏名や属性情報、購買履歴、行動データを一元管理します。これにより、店舗スタッフは顧客のECサイトでの購入履歴を確認しながら接客でき、マーケティング部門はチャネルを横断した顧客の行動をより詳細にトラッキングできるようになります。

在庫の一元管理(リアルタイムな在庫引き当て)

店舗在庫と倉庫(EC)在庫をリアルタイムで連携・統合する機能です。

顧客がECサイトから各店舗のリアルタイム在庫を確認できるだけでなく、企業側も全社的な在庫状況を正確に把握できます。この機能は、ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」を実現するためにも不可欠であり、欠品による機会損失を最小限に抑えます。

ポイント・クーポンの共通化

どのチャネルで買い物をしても同じようにポイントが貯まり、使える仕組みを提供する機能です。

ECサイトで獲得したポイントを実店舗のレジで利用したり、アプリで配信されたクーポンをオンライン・オフライン問わず適用したりすることができます。顧客にとっての利便性が大きく向上し、自社チャネル内での回遊を促す強力なインセンティブとなります。

POSシステム・基幹システムとの連携

既存のレジシステム(POS)や、企業の根幹となる基幹システム(ERP)、倉庫管理システム(WMS)とデータを双方向にやり取りする機能です。

オムニチャネルシステム単体で完結する業務は少なく、売上データや在庫データ、出荷指示などを社内の既存システムとシームレスに連携させることで、初めて全社的な業務の自動化と情報のリアルタイム化が実現します。

オムニチャネルを構成する具体的なツール・システムの種類

オムニチャネルシステムは、巨大な一つのシステムだけで完結するわけではありません。目的の異なる複数のツールやサービスを連携させることで、高度なオムニチャネル環境が構築されます。ここでは、構成要素となる代表的なシステムを紹介します。

CRM(顧客関係管理システム)

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客の氏名、連絡先、購買履歴、問い合わせ内容などの情報を一元管理するシステムです。 オムニチャネルにおいて、実店舗とECサイトで分断されがちな顧客情報を統合し、「誰が、いつ、どこで、何を買ったか」を正確に把握するための基盤となります。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)

CDP(Customer Data Platform)は、CRMのデータに加え、Webサイトでの行動履歴(閲覧ページやクリックなど)、アプリの利用状況、位置情報など、多種多様な顧客データを収集・統合するシステムです。 CRMが「結果(購買など)」を管理するのに対し、CDPは「プロセス(行動)」も含めて顧客を深く理解し、高精度なオムニチャネル分析を行うための頭脳として機能します。

MA(マーケティングオートメーション)ツール

MA(Marketing Automation)ツールは、統合された顧客データを活用し、マーケティング施策を自動化するシステムです。 例えば、「ECサイトで商品をカートに入れたまま離脱した顧客に対し、翌日にLINEやメールでリマインドを送る」「実店舗で購入した顧客へ、関連商品のオムニチャネル広告を自動配信する」といった、最適なタイミングでの1to1コミュニケーションを実現します。

ECプラットフォームとPOSシステム

顧客との直接的なタッチポイント(接点)となるのが、オンラインの店舗である「ECプラットフォーム」と、オフラインの店舗のレジである「POSシステム」です。 これらのシステムがAPIなどを通じてCRMやCDPとリアルタイムに連携することで、在庫の一元管理やポイントの共通化が可能になり、シームレスなオムニチャネル体験の土台が完成します。

システム統合によって実現する高度なマーケティング・広告施策

オムニチャネルシステムの導入は、プロモーション戦略にも大きな変化をもたらします。オンラインとオフラインのデータが統合されることで実現する、代表的な「オムニチャネル広告」の手法を解説します。

実店舗の購買データとWeb広告の連携

オムニチャネル環境では、実店舗のPOSデータとWeb広告の配信プラットフォームを連携させることが可能です。 例えば、実店舗で「ランニングシューズ」を購入した顧客のデータをシステムに反映し、その顧客がWebサイトを閲覧した際に「ランニングウェア」の広告を自動で表示させることができます。また逆に、すでに店舗で購入済みの顧客に対しては同じ商品のWeb広告を「配信停止(除外)」することで、広告費の無駄打ちを削減し、費用対効果(ROAS)を最適化できます。

位置情報(ジオフェンシング)を活用したプッシュ通知・広告

スマートフォンアプリと連携し、顧客の「現在地(位置情報)」を活用した広告配信も強力な手法です。 顧客が実店舗の一定エリア内(ジオフェンス)に入ったことをシステムが検知すると、リアルタイムで「来店限定のタイムセール情報」や「クーポン」をプッシュ通知で配信します。オンラインのシステムからオフラインの行動を直接的に促す、オムニチャネルならではの来店促進施策です。

オンラインでの行動履歴を活かしたDM・カタログ送付

オムニチャネル広告は、デジタル(Web)だけにとどまりません。ECサイトでの行動履歴を、アナログな広告媒体に連携させることも可能です。 例えば、ECサイトで高額商品をカートに入れたまま離脱(カゴ落ち)した顧客や、特定のカテゴリを頻繁に閲覧している顧客をシステムで抽出し、その関心に合わせたパーソナライズされた「紙のDM」や「カタログ」を自宅に郵送します。デジタルのスピード感と、アナログの「手元に残る」という強みを掛け合わせることで、コンバージョン率の向上が期待できます。

オムニチャネルシステムに蓄積されたデータの「分析手法」

システム統合によって集約された膨大な顧客データは、正しく分析して初めて価値を生み出します。オムニチャネル環境ならではの、代表的な分析手法を解説します。

ROPO(Research Online, Purchase Offline)分析

ROPO(ロポ)とは、「オンラインで情報収集(Research Online)し、実店舗で購入(Purchase Offline)する」という消費者行動を指します。 オムニチャネル分析において、この行動を可視化することは極めて重要です。「ECサイトのどのページを閲覧した顧客が、実店舗の売上に繋がっているのか」を分析することで、一見すると直接的な売上を生んでいないように見えるWebコンテンツやECサイトの「店舗への送客効果」を正確に測定できるようになります。

チャネル貢献度(アトリビューション)の評価

顧客が購入に至るまでには、SNS、Web広告、ECサイト、実店舗での接客など、複数のチャネルを経由します。最終的な購入チャネル(ラストクリック)だけを評価するのではなく、各タッチポイントが「どれだけ購入に貢献したか」を割り出すのがアトリビューション分析です。 オムニチャネルシステムによって顧客の行動経路が可視化されることで、「Instagramの投稿が認知を生み、実店舗の接客が後押しをして、最終的にECサイトで購入された」といった貢献度を数値化できます。これにより、無駄な予算を削減し、効果的なチャネルへ投資を集中させることが可能になります。

オムニチャネルを前提としたLTV・RFM分析

従来の単一チャネルごとの分析ではなく、全チャネルを統合した状態で顧客ロイヤルティを測ります。 「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」を分析するRFM分析をチャネル横断で行うことで、「ECと実店舗の両方を利用する顧客は、片方しか利用しない顧客に比べてLTV(顧客生涯価値)がどれほど高いのか」を証明できます。この分析結果は、経営層へのオムニチャネル投資の妥当性を説明する強力なデータとなります。

システム構築を阻む組織的・運用面の壁

店舗とECの組織の壁(サイロ化)

優れたオムニチャネルシステムを導入しても、組織が縦割り(サイロ化)のままでは十分に機能しなくなる恐れがあります。

実店舗を管轄する部門とEC部門が独立して動き、情報共有や連携が行われていないと、顧客へのアプローチが分断されてしまいます。システムを統合するだけでなく、部門間の壁を取り払い、全社一丸となって顧客体験を追求する組織風土の醸成が不可欠です。

売上評価指標(KPI)の対立とカニバリゼーション

オムニチャネル化を進める際、現場で頻繁に起こるのが「ECで売れると店舗の売上が減る」という反発です。

店舗ごとの売上だけを評価指標(KPI)にしていると、店舗スタッフはECサイトへの送客を渋るようになります。このカニバリゼーション(共食い)を防ぐためには、店舗とECの売上を切り離すのではなく、「顧客単位のLTV(顧客生涯価値)」や「店舗を起点としたEC売上」を評価に組み込むなど、評価制度を根本から見直す必要があります。

オムニチャネルシステムを構築・成功させるための具体的なステップ

1. 現状分析とロードマップの策定

まずは自社の現状のシステム環境、業務フロー、組織体制を正確に把握し、課題を洗い出します。

その上で、オムニチャネル化によって「いつまでに、どのような状態を実現するのか」という明確なロードマップを策定します。全社的なプロジェクトになるため、経営層のコミットメントを取り付けることが成功の第一歩です。

2. カスタマージャーニーの作成と提供する顧客体験の検討

顧客が商品を認知し、比較検討し、購入し、アフターサポートを受けるまでの一連のプロセス(カスタマージャーニー)を可視化します。

「どのチャネルで、どのような情報やサービスを提供すれば顧客体験が最大化するか」を徹底的に議論し、システムに落とし込むべき要件の土台を作ります。

3. 組織間のKPI統合と社内体制の構築

システム導入前に、実店舗とEC部門の対立を防ぐための評価制度や業務フローを整備します。

全社共通のKPI(顧客単価の向上、全体LTVの最大化など)を設定し、店舗スタッフがECサイトを積極的に活用するインセンティブを設計します。組織体制の変革が、オムニチャネル成功の鍵を握ります。

4. 各タッチポイントのデータ連携とシステム要件の定義

カスタマージャーニーに基づいて、ECサイト、実店舗のPOS、アプリ、オムニチャネル広告の配信プラットフォームなど、各タッチポイントで取得すべきデータと連携方法を定義します。

顧客IDの統合方法や、既存の基幹システム(ERP)とのデータ連携の仕様など、具体的なシステム要件を固めていきます。

5. 自社に最適なツール・プラットフォームの選定

定義した要件を実現できるオムニチャネルツールやシステム基盤、ECプラットフォームを選定します。

機能の網羅性だけでなく、既存システムとの連携のしやすさ、将来の拡張性、セキュリティ要件などを総合的に評価します。しかし、多くの企業がこのフェーズで「自社の複雑な要件を満たせるシステムが見つからない」という壁に直面します。

6. 小規模なテスト運用から全社展開へ

プラットフォームが決定しシステムの開発が完了したら、いきなり全店舗で導入するのではなく、一部の店舗や特定のサービスに絞って小規模なテスト運用(スモールスタート)を開始します。

現場のフィードバックを収集し、運用ルールの微調整やシステムのバグ出しを行った上で、全社展開へと移行します。

7. 効果検証と継続的な改善

オムニチャネルシステムは導入して終わりではありません。

統合されたデータを分析し、設定したKPIが達成できているかを定期的に検証します。顧客の反応や市場の変化に合わせて、機能の追加やマーケティング施策の改善を継続的に行うことが重要です。

システム構築手法・選定で直面する3つの罠

SaaS(ASP)の罠:基幹連携の壁と「業務をシステムに合わせる妥協」

オムニチャネルの実現には、既存のPOSシステムや基幹システム、倉庫管理システム(WMS)との複雑なデータ連携が不可欠です。

しかし、手軽に導入できる一般的なSaaS(ASP)型のオムニチャネルサービスでは、企業独自の商流や特殊な連携要件に対応しきれないケースが多々あります。結果として、「システムで実現できる範囲に、現場の業務フローを無理やり合わせる」という本末転倒な妥協を強いられ、現場の混乱や顧客体験の低下を招く原因となります。

フルスクラッチの罠:莫大なコストと技術的負債

SaaSの制限を回避するために、自社の要件に合わせてゼロからシステムを構築する「フルスクラッチ」を選択する企業もあります。

フルスクラッチであれば自社の要件に合わせたシステムを構築しやすいですが、初期費用が数千万から数億円規模に膨れ上がります。さらに、数年後に新しい決済方法やチャネルを追加しようとした際、システムが複雑化しすぎて改修が困難になる「技術的負債」を抱えるリスクが高まる傾向があります。

パッケージ開発の罠:ブラックボックス化とベンダーロックインの危険性

特定のシステムベンダーに開発や保守を完全に依存してしまうと、システムの中身がブラックボックス化するリスクがあります。

ベンダーから高額な改修費用を提示されたり、対応スピードが遅かったりしても、他社への乗り換えが事実上困難になる「ベンダーロックイン」に陥る危険性があります。オムニチャネル戦略において、システムを自由にコントロールできないことは致命的な弱点となります。

ベンダーロックインとは?原因と7つのリスク、回避・脱却する具体策を徹底解説

【解決策】オムニチャネルを実現する新たな選択肢「EC-CUBE」

EC-CUBE公式サイト

業務適応型コマース基盤(Adaptive Commerce Platform)という有力な選択肢

SaaSの「不自由さ」とフルスクラッチの「高コスト」という行き詰まりを打破する第三の選択肢が、業務適応型コマース基盤である「EC-CUBE」です。

EC-CUBEは、基本機能が網羅されたパッケージでありながら、ソースコードが公開されているため高いカスタマイズ性を備えています。「システムに業務を合わせる」のではなく、企業固有の複雑な商流や、既存のPOS・基幹システムとの高度な連携要件に合わせて、システム側を柔軟に最適化できるのが最大の強みです。

ソースコードと顧客データを自社の「デジタル資産」として所有

オムニチャネル戦略の核となるのは「顧客データ」です。

EC-CUBEで構築したシステムは、ソースコードやデータベースの構造を含め、すべてを自社の環境で管理・所有することができます。ベンダーロックインを回避し、蓄積されたデータや独自に開発した機能を自社の「デジタル資産(持ち家)」として継続的に成長させることが可能です。

フルスクラッチより安く、パッケージより自由

EC-CUBEは、ECサイト運用やオムニチャネルに必要なベース機能がすでに備わっているため、ゼロから開発するフルスクラッチに比べて開発期間とコストを大幅に圧縮できます。

「フルスクラッチより安く、一般的なパッケージやSaaSよりも自由度が高い」という特性は、複雑なシステム統合が求められるオムニチャネル構築において、合理的でコストパフォーマンスに優れた選択の一つとなります。

EC-CUBEを活用したオムニチャネル・システム連携の成功事例

実店舗とECの連携・店舗受取の実現(株式会社崎陽軒様)

株式会社崎陽軒様は、EC-CUBEを活用して店舗受取機能を実装し、実店舗とECのシームレスな連携を実現しました。

複雑なバックヤード運用や、お弁当という消費期限の短い特殊な商品の取り扱いに合わせ、EC-CUBEのカスタマイズ性を活かしてシステムを最適化。顧客の利便性向上と、店舗業務の効率化を同時に達成しています。

横浜のおいしさを創りつづける「シウマイ」の崎陽軒。お客様の利便性向上へ、デリバリーや店舗受取りに対応。店舗や配送バックヤードの運用整備を含めた全社を巻き込んだDXへの取り組み

複数チャネルを統合したオムニチャネル展開(プラス株式会社様)

オフィス家具メーカーのプラス株式会社様は、オムニチャネル戦略の基盤としてEC-CUBEを採用しました。

実店舗、ECサイトなど複数のチャネルを統合し、顧客が様々なチャネルから快適に購買できる環境を構築。ECサイトにブランドサイトの要素を盛り込み、顧客体験を向上させた成功事例です。

ブランドの魅力を詰め込んだ、ECサイトをコアとしたOMOを構築。多様化する業界でのプラス㈱ファニチャーカンパニーの挑戦

既存の基幹システム・倉庫データとの高度な連携(オフィスコム株式会社様)

オフィス家具通販のオフィスコム株式会社様は、EC-CUBEを導入しました。

自社の基幹データベースや倉庫データとECサイトを連携。膨大な商品データの管理を可能にし、最短・最良のお届け日を自動で提案する仕組みを構築しています。

顧客ファーストの徹底で売り上げ拡大。オフィスコム様の「ニーズに応えるBtoB ECづくり」に迫る

オムニチャネル構築を成功に導くパートナー選び

ベンダーの業務理解不足によるプロジェクト失敗のリスク

オムニチャネルシステムの構築は、単なるWebサイト制作ではありません。実店舗のオペレーション変更や評価制度の見直しを含む「事業戦略と業務フローの再設計」です。

システムベンダーによっては「言われた通りにシステムを作る」ことはできても、小売業や卸売業の複雑な実務や現場の課題まで、深い理解が難しい場合があります。この業務理解の欠如が、プロジェクト失敗の大きな要因となります。

業界実務を知る専門家が要件定義から構築まで一気通貫で支援

EC-CUBE Industry Experts

この課題解決を支援するのが、EC-CUBE公式の伴走型支援サービス「EC-CUBE Industry Experts」です。

業界実務を熟知した専門家がプロジェクトの上流工程に参画し、事業の目的から現場の業務課題、実現すべき顧客体験を整理します。その上で、複雑なシステム連携を伴う要件定義からEC-CUBEによるシステム構築までを一気通貫で支援します。本格的なオムニチャネル化を目指す企業にとって、心強いパートナーとなります。

EC-CUBE Industry Expertsの詳細はこちら

まとめ:オムニチャネルシステムの導入で顧客体験を向上させよう

オムニチャネルの成功は、顧客体験の向上と現場の業務効率化を両立させる「柔軟で拡張性の高いシステム基盤」にかかっています。

組織の壁を取り払い、適切なステップでプロジェクトを進めることが重要ですが、システム選定で妥協しては元も子もありません。SaaSの制約やフルスクラッチの技術的負債のリスクを避け、自社のデジタル資産として自由度高くカスタマイズできるEC-CUBEを検討してみてはいかがでしょうか。

自社に最適なシステム基盤を構築し、顧客にとって魅力的なシームレスな購買体験を実現しましょう。

監修

株式会社イーシーキューブ

国内No.1シェアを誇るEC構築オープンソース「EC-CUBE」の開発元企業です。親会社の株式会社イルグルム(東証スタンダード市場上場)とも連携し、戦略立案から構築・運用・マーケティングまでワンストップのEC支援を行っています。これまで数多くのEC構築・改善を手がけてきた知見を活かし、実務に役立つノウハウや導入事例などを分かりやすく解説・発信しています。「ECサイトをどう作ればいいのか分からない」「既存サイトをもっと強化したい」「ECサイトの運営について詳しく知りたい」…そんなお悩みをお持ちの方々に、少しでもヒントとなる情報をご提供できれば幸いです。
※ 独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による

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