【2026年最新】オムニチャネルの成功事例18選!戦略の具体例と成功のポイントを徹底解説

#ECの知識

複雑な要件も100%叶える
ベンダー依存を脱却し、自社専用EC基盤を。

まずは相談する

ECサイト・実店舗・アプリ・SNSなど、顧客との接点が多様化する中で注目されているのが「オムニチャネル戦略」です。近年は単に複数チャネルを持つだけでなく、オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、一貫した顧客体験を提供できる企業が競争力を高めています。
一方で、自社への導入を検討する際に「実際にどのようなオムニチャネル事例があるのか」「オムニチャネルで成功した具体例を知りたい」とおっしゃる担当者様も少なくありません。
本記事では、オムニチャネルの基礎知識やOMO・マルチチャネルとの違いを整理した上で、アパレル・小売・家電・美容など業種別に18の成功事例をご紹介します。さらに成功企業に共通するポイントや、実践的な導入ステップ、導入時に陥りやすい課題なども解説します。

オムニチャネル成功事例18社一覧と各社の戦略比較表

アパレル・ファッション ユニクロ アプリでの店舗在庫検索、BOPIS(店舗受取)、RFIDタグによる爆速レジと在庫管理
BEAMS 店舗スタッフのスタイリング投稿(EC連動)と、店舗・ECの顧客データ完全統合
ユナイテッドアローズ 店舗とECのポイント統合、在庫の相互融通による欠品防止
アダストリア(and ST) 複数ブランドの会員基盤統合、スタッフによるSNS発信とECの連動
ZARA アプリでの店舗内商品位置マップ表示、試着室の予約、EC購入品の店舗返品
オンワード樫山 ECで気になった商品を実店舗に取り寄せて試着できる「CLICK & TRY」
ナノ・ユニバース 店舗在庫のEC表示、店舗スタッフの接客履歴をECに連携
小売・日用品・家具 無印良品(良品計画) 「MUJI passport」アプリを中心とした、店舗チェックイン・レビュー・EC購入の「マイル」統合
ニトリ 「ニトリネット」での店舗在庫確認、「手ぶらdeショッピング(店舗でバーコードを読み取りECで決済・配送)」の導入
ハンズ(旧東急ハンズ) アプリでのリアルタイム在庫確認、店舗での受け取り・取り置きサービス
カインズ アプリでの「店内商品配置マップ(どこに商品があるか)」表示、BOPIS専用ロッカーの設置
イオン 「iAEON」アプリによる、ネットスーパー・実店舗・決済(WAON)のシームレスな統合
家電量販店 ヨドバシカメラ ECと実店舗の価格・ポイントの完全統一、リアルタイム在庫表示、店舗網を活かした「エクストリーム便」
ビックカメラ ECでの店舗取り置き機能、実店舗の「電子棚札」によるEC連動のリアルタイム価格変更
美容・コスメ・食品 資生堂 オンラインカウンセリングと実店舗の肌診断カルテの統合、美容部員によるデジタル接客「Omise+」
オルビス 店舗とECの顧客データ完全統合、パーソナライズされたアプリでの美容分析によるLTV向上
スターバックス 「モバイルオーダー&ペイ」による事前注文・決済と、店舗での受け取りのシームレス化(リワード連携)
スポーツ・エンタメ オリックス・バファローズ ファンクラブ(会員データ)、チケット購入、球場での飲食・グッズ購入(EC含む)のデータを統合したCRM戦略

「システムに業務を合わせる」妥協は終わりにしませんか。複雑な要件も100%叶える、ベンダー依存のない自社専用EC基盤を。
自社要件を相談する

オムニチャネルとは?基礎知識と類似用語との違い

「オムニチャネル」という言葉自体は知っていても、その正しい意味の理解は曖昧だという方は少なくないのではないでしょうか。また、オムニチャネルの他にも、マルチチャネル・クロスチャネル・OMOなど似たような言葉も多く、「それぞれの違いが分かりにくい」という声もよく聞かれます。
まずは、オムニチャネルの基本的な意味や目的、関連用語との違いを整理していきましょう。

オムニチャネルの定義と目的

オムニチャネルとは、ECサイト・実店舗・アプリ・SNS・メール・電話など、あらゆる顧客接点(チャネル)を統合し、顧客にシームレスな購買体験を提供するマーケティング施策の一種です。

例えば、ユーザーがスマートフォンアプリで商品を確認し、ECサイトで在庫をチェックし、店舗で実物を試した上で購入するといった行動は、現在では珍しくありません。オムニチャネルでは、こうした複数チャネルをまたいだ行動を前提に、顧客情報や購買履歴、ポイント、在庫情報などを一元管理します。
単に販売チャネルを増やすのが目的ではなく、どのチャネルを利用しても一貫した顧客体験を提供できるかが重要なポイントです。

そしてオムニチャネル戦略の最終的な目的は、顧客満足度や顧客ロイヤルティを高め、LTV(顧客生涯価値)を最大化することにあります。顧客との接点を継続的につなげ、リピート購入やファン化を促進できる点が大きな特徴です。

マルチチャネル・クロスチャネルとの違い

オムニチャネルと混同されやすい言葉に、「マルチチャネル」や「クロスチャネル」があります。

  • マルチチャネル
    実店舗やECサイト、SNSなど複数の販売チャネルを持つ状態を指します。各チャネルは独立して運用されることが多く、顧客情報や在庫情報が連携されていないケースも少なくありません。
  • クロスチャネル
    複数のチャネル間で一定の連携を行う施策や状態を指します。例えば「ECで注文して店舗で受け取る(BOPIS)」のように、チャネルを横断した購買体験を提供できます。

それぞれについて詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。

オムニチャネル戦略で売上最大化を目指す!成功事例から学ぶ戦略と実現への道筋【徹底解説】

O2O・OMOとの違い

オムニチャネルとあわせて語られることが多い言葉に、「O2O」や「OMO」があります。

  • O2O(Online to Offline)
    オンラインからオフラインへの送客を目的としたマーケティング手法です。身近なものでは、アプリクーポンを配布して実店舗への来店を促す施策などが代表例です。
  • OMO(Online Merges with Offline)
    オンラインとオフラインを区別せず、完全に融合した顧客体験を実現する考え方を指します。ネットと実店舗の垣根をなくし、顧客に「ECか店舗か」を意識させない体験設計が特徴です。

こちらも、より詳しく知りたい方は以下のコラムをご参照ください。

O2Oマーケティングとは?ECサイトと実店舗を連携し、一貫した顧客体験の提供により売上を最大化する戦略を徹底解説

なぜ今必要?オムニチャネルが注目される4つの背景

近年、多くの企業がオムニチャネル戦略を重視するようになっていますが、その背景には消費者の購買行動の変化だけでなく、EC市場の拡大やデジタル技術の進化など様々な要因があります。
ここでは、オムニチャネルが今改めて注目されている背景を4つに整理して解説します。

デジタルデバイス(スマホ等)の普及と購買行動の変化

スマートフォンの普及によって、消費者の購買行動は大きく変化しました。
現在では、実店舗で商品を見ながらスマホでレビューや価格を調べたり、SNSで口コミを確認したりする行動が普通になっています。店舗で商品を確認した後にECサイトで購入する「ショールーミング」や、逆にECで比較検討してから店舗で購入する「ウェブルーミング」はその代表的なものです。

昨今の消費者はオンラインとオフラインを自然に行き来しながら購買を行っています。そのため企業側にも、店舗・EC・アプリなどを分断せず一貫した顧客体験を提供する仕組みが求められるようになりました。

販売機会の損失(カゴ落ち・店舗の在庫切れ)を防げる

オムニチャネルは、販売機会の損失を防ぐ手段としても重要視されています。
例えば、実店舗で欲しい商品の在庫が切れていた場合でも、EC在庫を引き当てて自宅配送できれば顧客を逃さずに済みます。またECサイトで注文した商品を店舗で受け取れる「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」の導入によって、利便性向上と来店促進を同時に実現できます。
またEC側でも、店舗受取はカゴ落ちの最大原因の一つである送料の無料化につながり、店舗・ECの顧客情報統合はログインの手間や住所入力の負担を最小化できます。

このように、チャネルごとに在庫や顧客情報を分断せず全体最適で管理することが、売上機会の最大化に直結する時代になっているのです。

顧客との接点(タッチポイント)を増やせる

顧客との接点を大幅に増やせるのもオムニチャネル化の利点です。
従来の接客は店舗内やECサイト内で完結するものでしたが、現在ではSNS、アプリ、メールマガジン、LINE、実店舗、ECサイトなど、顧客接点が非常に多様化しています。これらの統合・連携により、顧客に対して継続的かつタイムリーなコミュニケーションが可能になります。具体的には「店舗で購入した顧客にアプリでクーポンを配信」「ECで閲覧した商品の情報をSNS広告で再訴求」などの施策があります。

また顧客との接触回数が増えるほど、ブランド想起率やロイヤルティの向上につながり、リピート購入を促進しやすくなる点も大きなメリットです。

クラウド化により小中事業者の導入ハードルが低下した

以前のオムニチャネルは大規模なシステム投資が必要であったため、一部の大企業だけが取り組める戦略と考えられていました。
しかし近年は、ECプラットフォームやPOS、CRM、MAツールなどのクラウドサービスが幅広く普及して低価格化も進み、比較的低コストでチャネル連携を実現可能です。
さらに「API連携」を前提としたシステムが増えたため、EC・店舗・在庫管理・会員管理などを柔軟に接続できる環境も整ってきました。

【業種別】オムニチャネルの成功事例・具体例18選

アパレル・小売・家電・美容・スポーツ業界など、様々な業種におけるオムニチャネルの成功事例をご紹介します。各社が抱えていた課題や実施した施策、その成果を見ていくことで、自社のオムニチャネル戦略を検討する際のヒントとしてお役立てください。

アパレル・ファッション業界のオムニチャネル事例

ユニクロ

世界的な衣料品ブランド・ユニクロでは、EC利用の拡大に伴い、店舗在庫切れによる機会損失や、オンラインと店舗の顧客体験が分断されるといった課題がありました。
そこで同社は、アプリ・EC・実店舗を連携したオムニチャネル施策を推進。アプリ上で店舗在庫検索を可能にした他、ECで注文した商品を店舗で受け取れる「ORDER & PICK」を導入。また、RFIDタグを活用したセルフレジや在庫管理の効率化も進めています。

これにより、顧客は在庫状況を確認しながらスムーズに商品を購入できるようになり、店舗受取による来店促進にも成功しました。アプリ会員数の拡大や継続的な接点づくりによって、顧客ロイヤルティ向上にもつながっています。

BEAMS

セレクトショップの先駆けとして知られるBEAMSでは、「オンラインではスタッフ接客の魅力が伝わりにくい」「店舗とECで顧客体験が分断される」というEC戦略の課題を抱えていました。特にセレクトショップ業態では、商品の提案力や着こなし提案をどのようにデジタル上で再現するかが重要なテーマでした。

そこで同社は、店舗スタッフによるスタイリング投稿をECサイトと連携。実際に着用したコーディネートをオンライン上で紹介し、そのまま商品購入ページへ遷移できる仕組みを整備しました。さらに店舗とECの会員情報・購買データを統合し、オンラインとオフラインを横断した顧客体験の強化にも取り組んでいます。
スタッフの接客価値をEC上にも拡張することで、購買促進や顧客接点の増加、ブランドロイヤルティ向上につながっています。

ユナイテッドアローズ

高感度なセレクトショップを展開するユナイテッドアローズでは、店舗・EC間の在庫情報やポイントの分断、商品欠品による購入機会の損失などの課題がありました。また、顧客がオンラインと実店舗を自由に行き来する中で、チャネルをまたいだ一貫性ある購買体験の提供も求められていました。

オムニチャネル施策として店舗とECの会員・ポイントシステムを統合し、共通して利用できる環境を整備。さらに店舗在庫をEC上で確認できる仕組みや、在庫の相互融通による欠品防止にも取り組みました。
顧客は在庫状況を確認しながらスムーズに購買できるようになり、利便性が向上。チャネル間のデータ活用で顧客接点の最適化も進み、LTV向上やリピート購入促進にもつながりました。スタッフによるスタイリング投稿や店舗取り置きサービスなどの施策も強化しています。

アダストリア(and ST)

ECモール「and ST(アンドエスティ)」を展開するアダストリアでは、複数ブランドを展開する中で顧客接点や会員情報が分散しやすいという問題を抱えていました。また「店舗スタッフの接客価値をオンライン上でどう再現するか」も重要なテーマでした。

これを解決するために、複数ブランドの会員基盤やポイントを統合。さらに店舗スタッフによるコーディネート投稿やSNS発信をECと連携し、スタッフの着こなし提案からそのまま商品購入につながる導線を構築しました。
これにより「and ST」は単なるECサイトではなく、ブランド体験を提供するプラットフォームへと進化。スタッフコンテンツを通じた顧客接点の拡大や統合会員基盤によるCRM強化によってリピート購入やLTV向上にもつながっています。さらに店舗在庫表示や店舗受取などの購買体験強化も進めています。

ZARA

ファストファッションブランド・ZARAでは、グローバル規模で店舗とECを展開する中、オンライン・実店舗のシームレスな連携や、在庫確認や試着待ちによる顧客ストレスの軽減に取り組みました。特にファッション業界では、来店前後の利便性向上が重要視されています。

同社はスマホアプリを活用したオムニチャネル施策を強力に推進。アプリ上で店舗在庫を確認できるだけでなく、一部店舗では商品位置を表示するナビゲーション機能も導入しました。これにより顧客は「欲しい商品がどこにあるか」を事前に把握しながら効率的に買い物できるようになりました。
また、EC購入商品の店舗返品や試着室予約など、オンラインと店舗を横断したサービスで顧客利便性向上と購買機会拡大の両立に成功しています。

オンワード樫山(クリック&トライ)

総合アパレルメーカーのオンワード樫山では、EC利用が拡大する中で「オンラインではサイズ感や着心地が分からない」「店舗に足を運んでも欲しい商品が置いていない」などの顧客の声にこたえるために、「クリック&トライ」サービスを導入しました。
これはECサイトで気になった商品を実店舗へ取り寄せて試着できるもので、顧客はオンライン上で商品を選び、希望店舗で試着してから購入を判断できます。店舗スタッフの接客を受けながら商品比較ができる点も特徴です。

この取り組みにより、ECと店舗を分断せずにつなげる購買体験を実現。顧客の不安の解消と購買ハードルの低下に成功しています。さらに店舗来店機会の創出や購買率向上にも寄与しており、オンワード樫山の代表的なオムニチャネル施策として注目されています。

ナノ・ユニバース

セレクトショップブランドのナノ・ユニバースでは、運営するECサイト上で「店舗スタッフの接客情報が活かされにくい」「店舗とECで在庫・顧客情報が分断される」といった課題を抱えていました。また、チャネルを横断して購買する中で一貫した接客体験の提供も求められていました。

そこで同社は、店舗在庫をECサイト上で確認できる仕組みを整備し、オンラインから店舗への送客を強化。さらに、店舗スタッフの接客履歴や顧客情報をECと連携し、オンライン・オフラインをまたいだ顧客理解を進めました。店舗とECをシームレスに利用できる環境が整い、また接客データを活用した提案により顧客満足度向上やリピート購入促進にもつながっています。あわせて、スタッフによるスタイリング投稿などのデジタル接客施策にも取り組んでいます。

小売・日用品・家具業界のオムニチャネル事例

無印良品(良品計画)

シンプルで高品質な商品を展開する無印良品では、EC・実店舗・アプリなど顧客接点が増える中で、チャネルごとの顧客体験の分断や、継続的な来店・購買につなげにくいといった課題を抱えていました。

そこで同社は、スマホアプリ「MUJI passport」を中心としたオムニチャネル戦略を推進。店舗チェックイン、レビュー投稿、EC購入などの行動を「MUJIマイル」として統合管理し、顧客との接点を可視化しました。さらにアプリ上で店舗検索や在庫確認、クーポン配信なども行い、オンラインと実店舗を横断した購買体験を強化しています。
「MUJI passport」により顧客のアプリ利用や来店頻度が向上し、EC・店舗双方への送客にも成功。現在では無印良品の代表的なCRM施策として知られています。

ニトリ

日本を代表する家具・インテリア小売企業のニトリでは、家具・インテリア商品を扱う特性上、「実物を見てから購入したい」「大型商品をそのまま持ち帰るのが難しい」といった顧客ニーズへの対応が重要な課題でした。また自社ECサイト「ニトリネット」と店舗の両方を利用する顧客によりスムーズな購買体験を提供する必要もありました。

同社はサイト上で店舗在庫をリアルタイム表示する仕組みを整備。さらに店舗で商品のバーコードを読み取るとそのままECで決済・配送依頼ができる「手ぶらdeショッピング」を導入しました。実物を確認しながら自宅配送までオンラインで完結できるため大型商品でも購入しやすくなり、店舗とECを横断した利便性向上を実現しました。
在庫確認による来店効率化や配送サービスとの連携も、購買機会損失の削減につながっています。

ハンズ(旧東急ハンズ)

生活雑貨やDIY用品を幅広く扱うハンズでは、取扱商品の多さから「店舗へ行っても欲しい商品が見つからない」「在庫確認のために問い合わせが必要」といった課題がありました。

そこで同社は、アプリやECサイト上でリアルタイム在庫を確認できる仕組みを導入。オンライン注文した商品の店舗受取や取り置きサービスにも対応し、来店前に商品確保ができる環境を整備しました。
これにより顧客は在庫状況を確認しながら効率的に買い物ができ、店舗での機会損失の軽減につながりました。オンラインから店舗への送客効果も高まり、実店舗の利便性向上とEC活用の両立を実現しています。さらに同社では、会員証やクーポン機能もアプリに集約するなど店舗とECを横断した利用体験の強化を進めています。

カインズ

ホームセンターチェーンのカインズでは、広い売り場を持つホームセンター業態ならではの「目的の商品が店内のどこにあるか分かりづらい」という顧客要望がありました。
この対応策として、スマホアプリ上で商品の売場位置を確認できる「売場マップ」機能を導入。顧客は広い店内でも効率的に商品を探せるようになり、店舗での買い物体験が向上しました。

また、EC利用の増加に伴いオンラインと店舗を連携した利便性向上も求められていました。その一環として、商品の受取をよりスムーズにするためにEC注文商品の店舗受取に対応。一部店舗ではBOPIS専用ロッカーも設置し、営業時間外で受取可能になりました。こうした施策によってECと実店舗を組み合わせた購買行動も促進され、利便性向上と来店機会創出の両立につながっています。

イオン

日本最大級の総合小売企業・イオンでは、実店舗・ネットスーパー・電子マネー・各種会員サービスなど多数の顧客接点を展開する中で、サービスごとにアプリやIDが分かれていることによる不便さの解消や、オンライン・オフラインを横断した一貫性ある顧客体験の構築を求められていました。

これを可能にしたのが、同社が展開するグループ横断アプリ「iAEON」です。ネットスーパー、店舗情報、WAON決済、ポイント管理、クーポン配信などを統合しており、利用者は実店舗とECをシームレスに利用可能。決済やポイント利用も共通化されています。
この取り組みにより、同社はグループ全体での顧客接点統合を推進。顧客利便性の向上に加え、購買データの横断活用、CRM強化などにもつながっており、大規模小売業におけるオムニチャネル事例として注目されています。

家電量販店業界のオムニチャネル事例

ヨドバシカメラ

国内最大級の通販サイト「ヨドバシ.com」を運営するヨドバシカメラでは、EC利用者が増えるにつれて、オンライン・店舗間の価格やポイント還元率の相違が課題となっていました。また家電量販店では在庫状況や配送スピードが購買判断に直結するため、そのニーズに応える必要がありました。

同社はECサイトと実店舗の価格・ポイントをほぼ統一し、リアルタイム在庫表示も実施。顧客はオンライン・店舗どちらでも同じ感覚で商品を購入できるようになり、チャネルをまたいだ利便性が大きく向上しました。
さらに、自社店舗網を活用した即日配送サービス「エクストリーム便」を展開し、都市部では注文当日の配送にも対応。配送スピード強化によってEC競争力も高まりました。実店舗とECを融合した代表的なオムニチャネル事例として注目されています。

ビックカメラ

大手家電量販店のビックカメラでは、ECと実店舗を併用する顧客が増える中で「店舗へ行っても在庫がない」「価格変更をリアルタイムで反映しづらい」といった顧客の声への対応が求められていました。また、オンラインと店舗でスムーズに商品を受け取れる環境整備も必要でした。

対応策として、ECサイトから商品の店舗取り置き予約ができるサービスを導入し、来店前に在庫確保できる仕組みを整備。実店舗では「電子棚札」を活用し、EC価格と連動したリアルタイム価格更新にも対応しました。
その結果、顧客はオンラインで在庫確認や取り置きを行った上で効率的に来店できるようになりました。価格情報の即時反映によってECと店舗の一体感も向上し、シームレスな購買体験の実現につながっています。

美容・コスメ・食品業界のオムニチャネル事例

資生堂

日本を代表する総合化粧品メーカー・資生堂では、肌状態やカウンセリング履歴を踏まえた提案が重視される化粧品分野において「オンラインだけでは美容部員による接客価値を提供しにくい」という問題を乗り越えるためにオムニチャネル化に取り組みました。

同社は美容部員によるデジタル接客サービス「Omise+」を展開し、店舗スタッフがオンライン上でも商品提案やカウンセリングを行える仕組みを整備。さらにオンラインカウンセリングと店舗の肌診断カルテを連携し、チャネルをまたいだ接客情報の一元化を推進しました。
これにより顧客はどのチャネルでも一貫した美容提案を受けられるようになり、継続購入やブランドロイヤルティ向上につながっています。デジタル上でも「人による接客価値」を維持したとして注目されるオムニチャネル成功事例の一つです。

オルビス

通販発祥のスキンケアブランド・オルビスでは、店舗・EC・アプリなど顧客接点が多様化する中で「チャネルごとに顧客データ分散をなくしたい」「一人ひとりに合わせた提案を強化したい」といった課題がありました。

その対策として、同社は店舗とECの会員情報・購買履歴を統合し、顧客データを一元管理。さらにアプリ上で肌分析や美容アドバイスを提供し、顧客ごとに最適化された情報発信を行う体制を構築しました。オンラインと店舗で同じ会員基盤を利用できる点も特徴です。
こうした施策によって、オルビスはパーソナライズされた顧客体験の強化に成功。顧客接点の継続化やリピート購入促進につながっています。特にスキンケア領域では、継続的なコミュニケーションがLTVに直結するため、オムニチャネル戦略が大きな成果を生みやすい業界の一つといえるでしょう。

スターバックス

世界最大級のコーヒーチェーン・スターバックスでは、店舗利用者の増加に伴い「レジ待ち時間を減らしたい」「テイクアウトをよりスムーズに利用したい」といったユーザーニーズへの対応と、アプリや会員サービスを活用したリピート促進が重要なテーマとなっていました。

同社が導入している「モバイルオーダー&ペイ」は、スマホアプリを通じて事前注文・決済が可能なシステムです。利用者は来店前に商品を注文し、店舗で待たずに受け取れる仕組みとなっています。さらに、会員プログラム「Starbucks Rewards」と連携することで、ポイント付与や特典利用もシームレスに行えるようになりました。
これにより、店舗オペレーション効率化と顧客利便性向上を両立。アプリ利用促進によって顧客接点も強化され、リピート利用やロイヤルティ向上につながっています。

スポーツ・エンタメ業界のオムニチャネル事例

オリックス・バファローズ

プロ野球球団のオリックス・バファローズでは、チケット販売・ファンクラブ・グッズEC・球場での飲食購入など顧客接点が多岐にわたる一方、それぞれのデータが分散しやすく効果的に活用できていませんでした。また来場者との継続的な関係構築やファンごとに最適化された情報発信の重要性を踏まえ、オムニチャネル施策に着手しました。

ファンクラブ会員情報を軸に、チケット購入履歴や球場での飲食・グッズ購入データ、EC利用データなどを統合。顧客行動を横断的に分析し、ファン属性に応じたマーケティング施策や情報配信を強化しました。オンラインとリアル観戦体験を連携させたCRM戦略を推進している点が特徴です。
球団はファンとの接点を継続的に維持しやすくなり、来場促進やグッズ購入拡大につながっています。スポーツ業界におけるデータ活用の成功事例として注目されています。

オムニチャネル戦略の事例から学ぶ!成功に導く5つのポイント

オムニチャネルは単にECと実店舗を連携すれば成功するというものではなく、運用まで見据えた組織体制やシステム開発が欠かせません。
ここでは、前章でご紹介した成功事例から見えてくる「オムニチャネル成功企業に共通するポイント」を5つに整理して解説します。

①顧客に提供したい価値や体験(UX)を明確にし一本化する

多くの企業がオムニチャネル導入時に陥りやすいのが、チャネルを増やすこと自体が目的化してしまい「オムニチャネル化によって顧客にどんな体験を提供したいのか」という要がはっきりしていないというものです。
具体的には「どこでも同じ価格・ポイントで購入できる」「在庫切れでも別チャネルから購入できる」「店舗でもECでも同じ接客品質を受けられる」など、ブランドとして一貫した価値を設計する必要があります。

顧客視点のUX設計が曖昧なまま機能追加だけを進めても、チャネルごとに体験がバラバラになり、かえって利便性を損なう可能性があります。

②単なる「企画」ではなく「全社戦略」として社内の意識を統一する

前出の事例からもお分かりかと思いますが、オムニチャネルはEC部門だけで完結する施策ではありません。実店舗・物流・マーケティング・情報システム・カスタマーサポートなど多くの部署が関わるため、部分最適ではなく全社視点で取り組む必要があります。
そのためには、まず経営層がオムニチャネルを全社プロジェクトとして推進する方針を明確にすることが重要。特に店舗売上とEC売上を別々に管理している企業では、部門ごとに目標が競合しやすくなります。

オムニチャネルを成功させる企業ほど「顧客体験を最優先する」という共通認識を社内全体で持っています。

③部門間の垣根を越えたシームレスな運用・協力体制を構築する

全社方針を決めるだけではオムニチャネルは機能しません。実際の現場レベルで、部門を横断した運用体制の構築が不可欠です。
「EC注文の店舗受取」「店舗在庫のECとの共有」といった代表的なオムニチャネル施策を行う場合、店舗スタッフ側には新たな業務負荷が発生しますし、在庫管理ルールやオペレーション変更も必要になります。

この時、店舗とECが売上を奪い合うような関係になると、当然施策はうまく回りません。成功企業では、在庫情報や顧客情報をリアルタイムで共有しながら部門を越えて協力できる業務フローを整備しています。

④全ての顧客接点が役割を担う「オムニチャネル向けの評価制度」を確立する

案外見落としがちですが、オムニチャネルの推進にあたってはスタッフの評価制度の設計も重要です。
例えば、店舗スタッフが丁寧に接客した結果、その顧客が好印象を持ち同じブランドのECサイトで商品購入したとします。これを帳簿の数字だけで評価すると、店舗側の成果や貢献度を把握するのは難しいでしょう。これでは現場がEC連携に協力しづらくなってしまいます。逆もまた然りです。
成功企業では「EC経由の売上でも来店店舗へ一部評価を還元する」「顧客満足度や会員獲得数も評価対象に含める」といった制度設計を進めています。

オムニチャネルでは、店舗・EC・アプリ・SNSなど全ての接点が顧客体験に貢献しています。単純なチャネル別売上だけで評価しない仕組み作りが、現場のモチベーション維持には欠かせません。

⑤実店舗とECを統合・連携できる柔軟なシステム基盤を構築する

オムニチャネルの成否は、最終的に「システム基盤」で決まると言っても過言ではありません。
どれだけ優れた戦略や企画を立てても、POSレジ・在庫管理・会員管理・基幹システム・ECが連携できなければ、情報は分断されたままです。店舗在庫がリアルタイム反映されない、ポイント情報が同期されない、顧客データが統合できない…こうした状態では、シームレスな顧客体験は実現できません。

特に近年は、BOPIS(店舗受取)やOMO施策、アプリ連携、パーソナライズ配信など求められる機能が高度化しており、最初からシステムの全てを作り込むよりも「将来的な拡張や外部連携に柔軟に対応できるか」が重要になっています。
実際、多くの企業がオムニチャネル推進の途中で「既存ECシステムが外部連携に対応できない」「基幹システム改修の自由度が低い」といった問題に直面しています。つまり、オムニチャネルは、運用の問題であると同時に、システムアーキテクチャの問題でもあるのです。

オムニチャネル導入の具体的な4つのステップ・手順

オムニチャネルはただECサイトやアプリを導入すれば実現できるものではなく、顧客体験の設計からシステム構築、組織改革までを段階的に進める必要があります。
ここでは、オムニチャネル導入を成功させるための一般的な進め方を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:現状分析と目標設定

最初に行うべきは、自社の現状把握です。
現在どのような販売チャネルを持っているのか、顧客データはどこで管理されているのか、在庫や会員情報は連携されているのかを洗い出します。多くの企業では、EC・実店舗・会員システム・基幹システムが個別に運用されており、データが分散しているケースが少なくありません。
その上で「LTVを向上させたい」「店舗とECの相互送客を強化したい」「在庫切れによる機会損失を減らしたい」など、オムニチャネル化によって実現したい目標とKPIを明確に設定します。

ステップ2:カスタマージャーニーの策定

次に、自社のビジネスにおけるカスタマージャーニー(顧客が商品やサービスを認知してから購入・リピートに至るまでの行動プロセス)を整理します。具体的には「SNSで商品を知る→ECで情報収集→店舗で実物を確認→アプリでクーポンを受け取る→ECで購入」といった一連の流れを可視化するものです。
カスタマージャーニーを作成すれば、顧客がどのタイミングでどのチャネルを利用しているのかが明確になります。その上で、店舗在庫をECで見られるようにしたり、EC注文商品を店舗で受け取れるようにしたりと、どの接点をどのように連携させるべきかを設計していきます。

ステップ3:データ・システムの統合

オムニチャネル実現において最も重要な工程の一つが、データとシステムの統合です。
会員情報、ポイント、在庫データ、購買履歴などがチャネルごとに分断されたままでは、一貫した顧客体験を提供できません。そのため、どのデータをどのシステムで管理し、どのように連携させるかを整理しながら要件定義を進めます。
特に、POSレジ、ECサイト、在庫管理システム、CRM、基幹システムとの連携は重要です。将来的な機能追加や外部サービス連携も見据え、拡張性の高いシステム基盤を選定することが求められます。

ステップ4:組織体制の構築と運用開始

システムが完成しても、それだけでオムニチャネルが成功するわけではありません。
実店舗スタッフやEC担当者が新しい業務フローを理解し、協力して運用できる体制づくりが必要です。そのためには、店舗受取対応や顧客情報活用などに関する研修を実施し、現場の理解を深めることが重要になります。
また、店舗とECが競合しない評価制度の整備や、定期的にKPIを確認する仕組みも欠かせません。運用開始後は、顧客データや利用状況を分析しながらPDCAを回し、継続的に改善を重ねていくことで、オムニチャネルの効果を最大化できます。

オムニチャネル導入における課題・デメリット

オムニチャネルは顧客体験の向上やLTV最大化につながる、多くの業種業態において有効なマーケティング戦略です。一方でその導入は簡単ではなく、実際にオムニチャネル化に挑みながら「組織」と「システム」という2つの壁に直面している企業は少なくありません。
前章でも述べた通り、オムニチャネルは単なるEC構築プロジェクトではなく、業務プロセスや組織体制そのものを変える取り組みであるため、想定以上に難航するケースも見られます。
ここでは、オムニチャネル導入時によく見られる代表的な課題を紹介します。

組織のサイロ化(部門間の壁と評価制度の対立)

オムニチャネル導入で最も多い失敗要因の一つが組織の「サイロ化」です。これは企業内の部門間の壁が厚く、全社的な意思統一や協力体制が妨げられている状況を指します。
具体的には、店舗で接客した顧客が後日ECで商品を購入した場合に、その売上がEC部門の実績として計上される仕組みになっていると、店舗側に「ECに売上を奪われる」という不満が生まれる、といったものです。
また、部門ごとに異なる目標が設定されているケースも少なくありません。EC部門はEC売上の最大化、店舗部門は来店客数や店舗売上の向上といった形で目標が違うと、本来は協力すべき関係であるにもかかわらず、チャネル同士が競争関係になってしまいます。

あくまでオムニチャネルの本質は「顧客にとって最適な購買体験の提供」です。しかし、組織がチャネル単位で分断されたままでは、情報共有や業務連携が進まずシームレスな顧客体験を実現できません。
そのため、経営層主導で全社方針を統一し、チャネル横断で評価できる制度や組織体制を整備することが重要になります。

データ統合の難しさとシステム連携の壁

もう一つの大きな障壁が、システム面の課題です。
多くの企業では、長年運用してきた基幹システムやPOSレジ、在庫管理システムが存在しており、それぞれが独立して稼働しています。そのため、新たにECサイトやアプリを導入しても簡単には連携できないケースがあります。
「店舗在庫をEC上にリアルタイム表示したいが、POSデータの形式が異なるため連携できない」「ECの会員情報と店舗会員情報が別管理になっている」「基幹システムが古くAPI連携に対応していない」といった問題は珍しくありません。
また、複数システムを無理に連携した結果、データの二重管理や運用負荷が発生し現場の業務がかえって複雑化するというトラブルもあります。

オムニチャネルでは、会員情報・在庫情報・購買履歴・ポイント情報などを統合的に扱う必要があります。そのため、導入前には既存システムとの連携可否や拡張性を十分に検討し、将来的な運用まで見据えたシステム設計を行うことが欠かせません。

オムニチャネル化を阻む、システム選定の難題とは

繰り返しになりますが、オムニチャネルを実現するためには、店舗・EC・アプリ・POS・基幹システムなどを連携できるシステム基盤が不可欠です。そこで多くの企業がまず「どのECシステムを選ぶべきか」という課題に直面します。
システム選定を誤るとオムニチャネル化が思うように進まず、途中で行き詰まる事態にもなりかねません。ここでは「SaaS・ASP型」と「フルスクラッチ」という2つのシステム開発における現実的な課題を取り上げます。

SaaS・ASPの「業務をシステムに合わせる妥協」

近年は手軽に導入できるSaaS型・ASP型のECカートが普及しており、小規模なECサイトであれば十分な機能を備えています。しかし、これを基盤としてオムニチャネルを本格的に推進しようとすると、標準機能だけでは対応できないケースが増えてきます。

  • 独自の店舗受取フローを構築したい
  • POSレジや会員システムと細かく連携したい
  • 店舗ごとに異なる在庫ロジックを実装したい
  • 基幹システムとの双方向連携を行いたい

このような要件が発生した場合、カスタマイズ範囲に制限があるSaaS・ASPでは実現が非常に難しいです。
その結果、本来は顧客体験に合わせて設計すべき業務フローを「システムの仕様に合わせて変更する」(Fit to Standard)という本末転倒な状態に陥ってしまうのです。

もちろんSaaS・ASPには導入の容易さという大きなメリットがありますが、オムニチャネルのような高度な連携を目指す場合には、こうした「柔軟性の限界」が大きな問題になります。

フルスクラッチの「膨大なコストと技術的負債」

一方で、「それなら自由に作れるフルスクラッチ開発が最適ではないか」と考える企業もあります。
確かにフルスクラッチであれば、自社の業務フローや要件に合わせて自由にシステムを構築できます。しかし、その代償は決して小さくありません。

一つはコストの問題です。フルスクラッチでの初期開発費用は数千万円から数億円規模になることも珍しくなく、開発期間も長期化しやすくなります。
運用開始後の保守・改修も懸念材料です。オムニチャネル戦略は、市場環境や顧客ニーズの変化に応じて継続的な改善が求められますが、フルスクラッチの場合は機能追加や仕様変更のたびに大規模な開発が必要となり、コストと時間がかさみます。

また、システム構造を理解している開発会社や担当エンジニアに依存しやすく、他社への乗り換えが難しくなる「ベンダーロックイン」のリスクもあります。結果として、運用を続けるほど改修しづらい技術的負債を抱え、将来的な事業拡大の足かせになるケースも少なくありません。

※ベンダーロックインについて詳しくはこちらをご覧ください。

ベンダーロックインとは?原因と7つのリスク、回避・脱却する具体策を徹底解説

【解決策】オムニチャネルを実現する第三の選択肢「EC-CUBE」

EC-CUBE公式サイト

前章でご説明した通り、SaaS・ASPは柔軟性不足、フルスクラッチはコストと運用負担という課題を抱えています。オムニチャネルを成功させるためには、この両極端な選択肢の間で、自社に適したシステム基盤を見極めることが重要です。

そして両者のリスクを回避できる第三の選択肢として注目されているのが、イーシーキューブ社が開発・提供している「EC-CUBE」です。EC-CUBEは、自社の業務フローや商習慣に合わせて柔軟に構築できる「業務適応型コマース基盤」として多くの企業で採用されています。

フルスクラッチより安く、パッケージより自由な「デジタル資産」

EC-CUBEの大きな特徴は、オープンソース型のECプラットフォームである点です。
一般的なSaaS型ECでは、サービス事業者の仕様変更や機能制約の影響を受けやすく、自社独自の業務フローを実装しにくいケースがあります。一方でEC-CUBEは、ソースコードを保有しながら自由にカスタマイズできるため、自社の商流や業務プロセスに合わせた構築が可能となります。
また、顧客データや業務ロジックを特定ベンダーのサービス内に閉じ込めるのではなく、自社の資産として蓄積・運用できる点も特徴です。EC-CUBEではこれを「ロジックの資産化」と位置付けており、独自の承認フローや販売ルールを継続的に進化させられる基盤を目指しています。
さらに、フルスクラッチのようにゼロから全てを開発する必要がないため、自由度とコストのバランスを取りながら構築できる点もメリットです。

EC-CUBEを活用したオムニチャネル・OMOの成功事例

崎陽軒様(店舗受取・バックヤード運用の統合)

崎陽軒オンラインショップでは、従来別々に運用されていたショッピングサイトとデリバリーサイトの顧客情報が分断されており、一元管理できないことが課題となっていました。また「店舗受取予約サービスのEC化」も求められていました。

同社ではEC-CUBEを活用し、店舗受取・通信販売・デリバリーを統合したEC基盤を構築。シウマイや弁当といった消費期限の短い商品を扱うため、店舗ごとの受取可能時間設定や製造上限数に応じた受注制御など、複雑なバックヤード運用にも対応しています。
その結果、顧客情報の一元管理だけでなく、基幹データベースとの連携や運用効率化も実現。標準機能では対応しづらい独自業務をシステムへ落とし込みながら、店舗受取を含むオムニチャネル施策を実現した事例として紹介されています。

横浜のおいしさを創りつづける「シウマイ」の崎陽軒。お客様の利便性向上へ、デリバリーや店舗受取りに対応。店舗や配送バックヤードの運用整備を含めた全社を巻き込んだDXへの取り組み

プラス様(オムニチャネル化の実現)

オフィス家具・雑貨販売を手掛けるプラス株式会社様では、実店舗とECを横断した顧客体験の強化を目指し、オムニチャネル化に取り組んでいます。
同社は、店舗とECを分断せずにつなぐため、顧客接点や購買情報を活用しながらシームレスな購買体験を実現。EC-CUBEの柔軟なカスタマイズ性を活かし、自社業務に合わせたシステム構築と各種システム連携を行っています。

オムニチャネルでは、企業ごとに異なる業務フローや基幹システムとの連携要件が発生します。プラス様の事例は、既存業務を無理に変更するのではなく、自社の運用に合わせてEC基盤を構築できることを示す事例の一つといえるでしょう。

ブランドの魅力を詰め込んだ、ECサイトをコアとしたOMOを構築。多様化する業界でのプラス㈱ファニチャーカンパニーの挑戦

大規模・高セキュリティなオムニチャネル基盤「EC-CUBE Enterprise」

EC-CUBE Enterprise

オムニチャネル戦略が高度化するにつれ、求められるシステム要件も複雑になっています。大規模なアクセスや大量の商品データ、複数の基幹システムとの連携、さらには高いセキュリティや可用性への対応が必要になるケースも少なくありません。
こうしたエンタープライズ企業向けに提供されているのが、EC-CUBEの上位版「EC-CUBE Enterprise」です。EC-CUBEの柔軟性をベースに、大規模ECや高度な業務要件に対応できる専用プラットフォームとして、多様な業界のデジタルコマース基盤を支えています。

リユース・中古品販売のオムニチャネルに特化した「for Re:Use」

EC-CUBE Enterprise for Re:Use

リユース業界では、一般的なECとは異なる独自の課題があります。
例えば中古ブランド品やリユース品は、基本的に「一点物」であるため、店舗とECで同時に販売する場合にはリアルタイムな在庫連携が欠かせません。また、店舗での買取、宅配買取、オンライン査定など、顧客との接点も多岐にわたるため、顧客情報や査定履歴を横断的に管理する仕組みが求められます。

「EC-CUBE Enterprise for Re:Use」は、こうしたリユース業界特有の課題に対応するために開発された専用パッケージです。店舗とECの在庫連携を前提とした設計に加え、買取・販売双方の業務フローを考慮した運用が可能となっています。
さらに、リユース事業では商品ごとに状態や価格が異なるため、一般的なECよりも商品管理が複雑になりがちです。for Re:Useでは、こうしたリユース商材特有の管理要件にも対応しながら、実店舗とECを横断したオムニチャネル運用を実現できます。

「店舗とECの併売を強化したい」「買取から販売までの顧客体験を統合したい」といったリユース事業者に適したソリューションとなっています。

店舗出店型モール・複数テナントを統合する「for Marketplace」

EC-CUBE Enterprise for Marketplace

百貨店や商業施設、ショッピングセンターなどでは、多数のテナントが出店している一方で、それぞれが独立して運営されているため、顧客データや在庫情報が分散しやすいという課題があります。
「EC-CUBE Enterprise for Marketplace」は、こうした複数テナントを抱える事業者向けに開発されたモール構築パッケージです。

各テナントがEC上にも出店できる環境を構築しながら、モール全体として顧客情報やポイント制度を統合できるため、実店舗とECを横断したオムニチャネル戦略を実現しやすくなります。
また、各テナントが個別に商品や受注を管理しながらも、モール運営者は全体を統括できる仕組みを備えており、百貨店や商業施設が自社独自のマーケットプレイスを構築することも可能です。

近年は、単なるECモールではなく、実店舗を持つテナントとの連携を前提としたOMO・オムニチャネル施策が重要視されています。for Marketplaceは、こうした店舗とECの融合を支える基盤として、商業施設やデベロッパーのデジタル戦略を支援するソリューションといえるでしょう。

オムニチャネルの導入に関するよくある質問(FAQ)

オムニチャネルを導入するメリットは?

オムニチャネル最大のメリットは、顧客体験の向上です。顧客はEC・実店舗・アプリ・SNSなどを自由に行き来しながら、一貫したサービスを受けられるようになります。

その結果、顧客満足度やブランドロイヤルティが高まり、LTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。また、「店舗に在庫がなくてもECで購入できる」「ECで注文して店舗で受け取れる」といった仕組みにより、販売機会の損失を防げる点も大きなメリットです。

小規模な店舗でもオムニチャネル化の例はある?

はい、オムニチャネルは大企業だけの取り組みではありません。

例えば、ECサイトとLINE公式アカウントを連携してクーポン配信や再来店促進を行ったり、POSレジとECを連携して店舗・ECの在庫を共有したりするだけでも立派なオムニチャネル施策です。
最近ではクラウド型のPOSやECシステムも充実しており、小規模事業者でも比較的低コストでスモールスタートできる環境が整っています。

オムニチャネルとOMOの違いは何ですか?

オムニチャネルとOMO(Online Merges with Offline)は混同されることがありますが、考え方に違いがあります。

オムニチャネルは、ECや実店舗、アプリなど複数のチャネルを連携し、顧客がどのチャネルを利用してもシームレスに購買できる状態を目指す考え方です。OMOは、オンラインとオフラインの境界そのものをなくし、顧客体験を中心に設計する考え方を指します。
実務上は両者を明確に区別しないケースもありますが、まずはオムニチャネルによってチャネル間のデータや顧客体験を統合し、その先にOMOを目指す企業が多くなっています。

まとめ

オムニチャネルは、単にECと実店舗を連携する施策ではありません。顧客がどのチャネルを利用しても一貫した体験を提供し、顧客満足度やLTVを高めながら販売機会の最大化を実現するための経営戦略です。
実際に本記事で紹介した企業の多くは、店舗受取や在庫連携、会員情報の統合、アプリ活用などを通じて、オンラインとオフラインの垣根をなくし、顧客体験の向上に成功しています。

一方で、その実現には組織改革やデータ統合だけでなく、それらを支えるシステム基盤が不可欠です。特にオムニチャネルでは、自社独自の商流や業務フロー、POS・基幹システムとの連携要件が発生するため、システム選びがプロジェクトの成否を左右します。
しかしSaaS・ASP型ECは柔軟性に限界があり「業務をシステムに合わせる」妥協が生じますし、フルスクラッチ開発は高額な開発費やベンダーロックイン、将来的な技術的負債がリスクとなります。

こうした課題を回避しながらオムニチャネルを実現したい企業にとって、有力な選択肢となるのがEC-CUBEです。フルスクラッチよりも低コストで自在のカスタマイズ性を実現できるだけでなく、ソースコードや顧客データを自社のデジタル資産として保有可能。将来的な事業成長やオムニチャネル戦略の進化にも柔軟に対応できる「業務適応型」のECシステムです。

これからオムニチャネル化を検討する企業様は、まず自社がどのような顧客体験を提供したいのかを明確にした上で、それを実現できるシステム基盤を見極めましょう。その際は、短期的な導入コストだけで判断せず、将来にわたって活用できる「デジタル資産」という視点に立ったEC基盤の選定をおすすめいたします。

監修

株式会社イーシーキューブ

国内No.1シェアを誇るEC構築オープンソース「EC-CUBE」の開発元企業です。親会社の株式会社イルグルム(東証スタンダード市場上場)とも連携し、戦略立案から構築・運用・マーケティングまでワンストップのEC支援を行っています。これまで数多くのEC構築・改善を手がけてきた知見を活かし、実務に役立つノウハウや導入事例などを分かりやすく解説・発信しています。「ECサイトをどう作ればいいのか分からない」「既存サイトをもっと強化したい」「ECサイトの運営について詳しく知りたい」…そんなお悩みをお持ちの方々に、少しでもヒントとなる情報をご提供できれば幸いです。
※ 独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による

#ECの知識

複雑な要件も100%叶える。
ベンダー依存を脱却し、自社専用EC基盤を。

他の記事もご覧ください

記事一覧に戻る

EC-CUBE公式アドバイザー
ご相談窓口

  • 他社のASPやパッケージとの違いを知りたい
  • BtoCのサイトにBtoB機能を追加したい
  • 何から手をつければよいかわからない
  • 自社にマッチした制作会社を探したい
  • サイト制作だけでなく運営もサポートしてほしい

新規構築・リニューアル・取引先向けのWeb受発注システム(BtoB)や事業の拡大など、
今抱えている課題を解決する最適な業者探しを、アドバイザーがお手伝いします。