ECアプリとは?開発のメリット・デメリットから費用相場、成功事例まで徹底解説

#ECの知識

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スマートフォンの普及により、EC事業において自社専用の「アプリ化」を推進する企業が増加しています。Webブラウザでの検索から流入する新規顧客の獲得に加え、ダウンロードしてくれた顧客との接点を強化し、リピート率を引き上げるための重要なツールとしてECアプリが位置付けられているためです。プッシュ通知やスムーズな決済機能により、顧客の購買意欲を逃さない環境を構築することが、現代のEC戦略における鍵となります。

この記事では、ECアプリの基礎知識から、導入するメリット・デメリット、実装すべき必須機能、具体的な開発手法と費用相場までを網羅的に解説します。さらに、大手企業の成功事例や、開発時に多くの企業が直面する「システム連携の壁(SaaSの罠)」を回避し、プロジェクトを成功に導くための最適なシステム基盤の選び方までを詳しくお伝えします。

ECアプリとは?ニーズが高まる背景とWeb版との違い

ECアプリの定義とWebブラウザ版(ECサイト)との違い

ECアプリとは、スマートフォンやタブレット端末にインストールして利用する、オンラインショッピング専用のアプリケーションを指します。SafariやChromeなどの「Webブラウザ版(ECサイト)」が検索エンジン経由での新規顧客獲得に向いているのに対し、「ECアプリ」はホーム画面にアイコンが常駐するため、既存顧客のロイヤルティ向上やリピート購入の促進に特化しているという明確な違いがあります。

ニーズが高まる背景:モール出店から自社EC・アプリへの移行トレンド

ECアプリのニーズが高まっている背景には、企業がAmazonや楽天市場などの「モール出店」から、「自社ECサイトおよび自社アプリ」へと軸足を移すトレンドがあります。モールは集客力に優れる反面、顧客データがプラットフォーム側に帰属し、独自の効果的なマーケティング施策が打ちにくいという課題があります。顧客データを自社で保有し、直接的なコミュニケーションを図るための手段として、自社アプリの開発が急務となっています。

アプリの利用時間はWebブラウザの5.5倍

コロナ禍を経てアプリ利用率はさらに増加

スマートフォンの利用時間において、アプリの利用時間はWebブラウザの約5.5倍に達するというデータがあります。特にコロナ禍以降、消費者のオンラインショッピングへの依存度が高まり、使い勝手の良いアプリで買い物を完結させるスタイルが定着しました。企業にとって、長い時間を過ごすアプリ領域に自社の販売チャネルを持つことは、売上拡大に繋がる可能性があります。

よく利用されるのは「SNS」「ニュース」であり、「EC」の利用シェアを高めることが課題

スマートフォン利用者の多くは、LINEやInstagramなどの「SNS」や「ニュースアプリ」に多くの時間を費やしています。「ECアプリ」の利用シェアはまだ伸ばす余地があり、いかに顧客の日常に溶け込み、定期的にアプリを開いてもらう仕組み(コンテンツ配信やポイント施策など)を作るかが、EC事業者の大きな課題となっています。

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ECアプリを導入する5つのメリット

メリット① プッシュ通知による効果的な販促(メルマガの3〜5倍の開封率)

ECアプリ最大のメリットは、スマートフォンの画面に直接メッセージを表示する「プッシュ通知」が利用できる点です。一般的なメールマガジンの開封率が10%前後であるのに対し、プッシュ通知の開封率は30〜50%とも言われ、3〜5倍の高い効果を発揮します。新商品の案内やタイムセール情報をリアルタイムで届けることで、即座に購買行動へ繋げることが可能です。

メリット② ロイヤルティ向上と効果的なリピート施策になる

ECアプリは、顧客のスマートフォンに常にアイコンが表示されるため、ブランドへの単純接触効果が高まり、ロイヤルティ(愛着)の向上に寄与します。ログイン状態を保持できるため、都度IDやパスワードを入力する手間がなくなり、顧客にとって「買い物をしやすい場所」となります。結果として、LTV(顧客生涯価値)を高める効果的なリピート施策として機能します。

メリット③ 利便性とシームレスな顧客体験(UX)の提供

アプリは端末のOS(iOS/Android)に最適化された設計になっているため、Webブラウザよりも画面遷移が速く、直感的な操作が可能です。指紋認証や顔認証を用いた生体認証ログイン、ワンタップでの決済処理など、購買プロセスにおける摩擦(フリクション)を最小限に抑えることで、カゴ落ち(カート放棄)のリスクを軽減し、シームレスな顧客体験(UX)を提供します。

メリット④ より詳細な顧客・利用データの収集が可能

アプリを通じて、顧客の閲覧履歴、お気に入り登録、位置情報(GPS)、クーポンの利用状況など、Webブラウザ以上に詳細な行動データを収集できます。このデータを分析することで、「どのタイミングで、どの商品を、どのようなメッセージで提案すれば購入されるか」というパーソナライズされたマーケティング施策を高精度で実行できるようになります。

メリット⑤ インターネットのオフライン時でも一部動作が可能

アプリ内に一部のデータやキャッシュを保存しておくことで、インターネット接続が不安定な場所やオフライン環境でも、アプリを起動して閲覧履歴や会員証バーコードを表示させることが可能です。特に実店舗のレジ前で通信が遅い場合でも、会員証をスムーズに提示できる点は、実店舗を併せ持つ企業にとって大きなメリットとなります。

導入前に知っておくべきECアプリの3つのデメリット

デメリット① 開発・運用保守のコストが高い

ECアプリの導入において、初期の開発費用だけでなく、リリース後の運用保守コストが高額になりやすい点は大きなデメリットです。Webサイトの開発とは異なり、iOSとAndroidそれぞれのプラットフォームに合わせた開発環境や専門知識が必要となるため、システム構築の費用相場は高止まりする傾向にあります。

OS(iOS/Android)のアップデート対応や不具合対応が継続的に発生する

アプリを公開し続ける限り、AppleやGoogleが定期的に実施するOSのメジャーアップデートに対応するための改修作業が必須となります。これに対応しないと、アプリが起動しなくなったり、レイアウトが崩れたりする不具合が発生します。そのため、毎月の保守費用や追加開発費用が継続的に発生することを予算に組み込んでおく必要があります。

デメリット② 顧客へのインストール(ダウンロード)のハードルが高い

WebサイトはURLをクリックするだけでアクセスできますが、アプリはApp StoreやGoogle Playストアを経由して「ダウンロード・インストールする」という手間が発生します。顧客にとって、スマートフォンのストレージ容量を消費してまでアプリを入れる動機がなければインストールされないため、初回ダウンロードを促すための強力なインセンティブ(初回限定500円オフクーポンなど)が重要です。

デメリット③ 知名度やブランド力がないと定着しにくい

すでに市場には無数のアプリが存在しており、消費者は頻繁に利用する一部のアプリしかホーム画面に残しません。ブランドの知名度が低く、利用頻度が月に1回にも満たないような場合、せっかくインストールされてもすぐに削除(アンインストール)されてしまうリスクがあります。アプリを定着させるには、継続的に有益なコンテンツや特典を提供し続けるブランド力が求められます。

ECアプリが向いている企業・向いていない企業

アプリ化が向いている企業の特徴

ECアプリの導入が向いているのは、化粧品、健康食品、アパレル、日用品など「購入頻度が高く、リピート購入が前提となる商材」を扱う企業です。また、実店舗を展開しており、デジタル会員証や店舗在庫の確認など、オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル施策を推進したい企業にとって、アプリは重要なツールとなります。

アプリ化が向いていない企業(Webブラウザ版のままで良いケース)

一方で、家具や大型家電、冠婚葬祭のギフトなど「数年に一度しか購入しない単発購入メインの商材」を扱う企業は、アプリ化のメリットを享受しにくいため、Webブラウザ版の最適化(スマホ対応)に注力すべきです。また、EC事業の立ち上げ初期で、まだ固定客(リピーター)が十分に育っていない段階で多額のコストをかけてアプリを開発するのは、投資回収のリスクが高いため推奨されません。

ECアプリに実装すべき必須機能一覧

プッシュ通知(パーソナライズされた情報配信・カゴ落ち対策)

プッシュ通知は、単に一斉送信するだけでなく、顧客の行動に合わせたパーソナライズ配信機能が重要です。例えば、カートに商品を入れたまま離脱した顧客に対し「買い忘れはありませんか?」と自動で通知を送るカゴ落ち対策や、お気に入り登録した商品の値下げタイミングを知らせる機能は、売上回復に繋がる可能性があります。

デジタル会員証(バーコード表示による実店舗との連携)

実店舗を持つ企業の場合、アプリ内に会員証バーコードやQRコードを表示する機能が推奨されます。プラスチックカードを廃止し、アプリ一つでポイントの付与・利用が完結する仕組みを作ることで、顧客の利便性が向上するとともに、店舗とECの購買データを一つの顧客IDで統合管理できるようになります。

クーポン機能(アプリ限定特典による利用促進・来店誘導)

顧客にアプリを継続利用してもらうためのフックとして、クーポン配信機能は強力です。「アプリダウンロード記念クーポン」や「誕生月限定クーポン」、さらにはGPSと連動して実店舗の近くにいる顧客にだけ配信する「来店誘導クーポン」などを実装することで、オンライン・オフライン双方の売上の底上げが期待できます。

お気に入り機能(検討中商品のストックとリマインド)

スマートフォンでの買い物は、通勤中やスキマ時間に行われることが多く、その場ですぐに購入されないケースが多々あります。「お気に入り(ウィッシュリスト)」機能を持たせることで、顧客は気になった商品をストックでき、後からじっくり検討することが可能になります。お気に入り商品に関連するプッシュ通知と組み合わせることで、購入率を高めることができます。

店舗在庫確認・店舗受け取り(BOPIS対応によるオムニチャネル化)

アプリ上で商品を見ている際に、「近隣の実店舗に在庫があるか」をリアルタイムで確認できる機能は、顧客の購買体験を大きく向上させます。さらに、ECアプリで決済を済ませ、商品は実店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」機能に対応することで、送料を節約したい顧客のニーズに応えつつ、来店時の「ついで買い」を誘発できます。

ECアプリの開発手法・構築手段と費用相場

技術的な開発手法3種類

① ネイティブアプリ(動作が速く機能が豊富)

iOS(Swift)やAndroid(Kotlin)など、それぞれのOSに特化した専用の言語で開発する手法です。スマートフォンのカメラやGPS、プッシュ通知などの端末機能をフルに活用でき、動作が最も高速で滑らかなのが特徴です。ただし、OSごとに別々の開発が必要になるため、開発コストと期間が最もかかります。

② Webアプリ / PWA(プログレッシブWebアプリ)(開発コストを抑えられる)

Webサイトの技術(HTML/CSS/JavaScript)を用いて、アプリのように動作させる手法です。PWA(Progressive Web Apps)は、ブラウザからホーム画面に追加でき、プッシュ通知やオフライン閲覧も一部可能です。OSごとの個別開発が不要なためコストを大幅に抑えられますが、Apple(iOS)の仕様制限により一部機能が使えない場合があります。

③ ハイブリッドアプリ(両者の良いとこ取り)

Web技術で開発したコンテンツを、ネイティブアプリの「枠(WebView)」の中で動作させる手法です。1つのソースコードでiOSとAndroidの両方に対応できるため、ネイティブアプリよりも開発コストと期間を抑えつつ、アプリストア(App Store / Google Play)での配信が可能です。現在、多くのECアプリがこの手法を採用しています。

ビジネス的な構築手段(作り方・頼み方)

① ノーコード / アプリ構築SaaS(Yappli等)の利用

プログラミング不要で、用意されたデザインテンプレートやモジュールを組み合わせるだけでアプリを構築できるSaaS型のサービスです。初期費用を数百万円程度に抑え、最短1ヶ月などの短期間で導入できるのが強みです。ただし、機能やデザインのカスタマイズには明確な制限があります。

② 開発会社への委託(自社要件に合わせたパッケージ開発やフルスクラッチ)

自社の独自の業務フローや、既存の基幹システム・ECサイトと深く連携させる場合、システム開発会社に委託してパッケージベースでの開発や、ゼロから構築するフルスクラッチ開発を行います。初期費用は数千万円規模になりますが、自社の要件にしっかりとフィットした独自のアプリを構築できます。

一般的な開発アプローチ:アプリからWeb版ECページへ遷移させるシステム連携

ECアプリ開発においてコストを抑えつつ最速で立ち上げる一般的なアプローチは、アプリの「ガワ(トップページや会員証など)」だけをネイティブやハイブリッドで作成し、商品詳細ページやカート・決済画面は「既存のWeb版ECサイトをアプリ内で読み込んで表示(WebView)」させる手法です。これにより、商品の更新や決済システムの改修をWeb側で行うだけで、アプリ側にも即座に反映されるというメリットがあります。

ECアプリ開発の費用相場(手法・手段別のコスト比較)

開発手法や要件によって費用相場は大きく変動します。ノーコード・アプリ構築SaaSを利用する場合、初期費用は100万〜300万円、月額費用が10万〜30万円程度です。ハイブリッドアプリを開発会社に委託する場合は500万〜1,500万円程度。OSごとに専用開発するネイティブアプリのフルスクラッチ開発となれば、2,000万〜5,000万円以上の予算が必要になるケースも珍しくありません。

代表的なECアプリ構築ツール・サービス

初期費用を抑え、スピーディにECアプリを立ち上げる手段として、現在多くの企業に選ばれているのが「アプリ構築SaaS(プラットフォーム)」です。ここでは、国内で代表的な3つのツールを紹介します。

Yappli(ヤプリ)

Yappliは、プログラミング不要(ノーコード)で高品質なスマホアプリを開発・運用できる国内シェアトップクラスのプラットフォームです。豊富なデザインテンプレートやプッシュ通知、ポイントカード機能などが標準搭載されており、直感的な管理画面でスピーディにアプリを構築できるのが最大の強みです。

MGRe(メグリ)

MGReは、小売業やEC事業者に特化したアプリ構築プラットフォームです。単なるアプリ作成にとどまらず、既存のECサイトやCRM(顧客管理システム)との連携実績が豊富で、オンラインとオフラインのデータを統合したマーケティング施策(OMO)を推進しやすい設計になっています。

Appify(アッピファイ)

Appifyは、ShopifyやBASEなどのSaaS型ECカートを利用している事業者が、自社のECサイトを最短2週間という短期間・低コストで公式アプリ化できるサービスです。既存のECカートの商品データや顧客データをそのまま活用できるため、手軽にアプリチャネルを増やしたい立ち上げ初期〜成長期の企業に支持されています。

ツール選定時の注意点:フロントとバックエンドの連携性

これらのツールは、アプリの「フロント(UI・ガワ)」を構築する点においては非常に優秀です。しかし、アプリ構築ツール単体ではECの決済や複雑な受注管理は行えません。ツールを選定する際は、「自社が使っている(あるいは導入予定の)裏側のECシステム(カート基盤)と、どれだけ深く・遅延なくAPI連携できるか」を確認することが重要です。

ECアプリを開発・導入する5つのステップ(手順)

Step1. 目的の明確化と企画・要件定義

まずは「なぜアプリを作るのか」「誰に、どのような体験を提供するのか」という目的を明確にします。既存のECサイトの課題を洗い出し、ターゲット層の選定、アプリに実装すべき機能の優先順位付け(要件定義)を行います。ここで目的がブレると、後の開発フェーズで不要な機能追加によるコスト増やスケジュールの遅延を招くため、最も重要なステップです。

Step2. 開発手法・プラットフォームの選定

要件定義に基づき、予算とスケジュールに合わせて開発手法(ネイティブ、ハイブリッド、PWAなど)や構築手段(SaaS、パッケージ、フルスクラッチ)を選定します。同時に、アプリの裏側で連携するECシステム(カート基盤)が自社の要件(独自のポイント施策や基幹連携など)を満たせるかどうかも、この段階で慎重に見極める必要があります。

Step3. UI/UXデザインとシステム開発・API連携

ターゲットユーザーにとって直感的で使いやすい画面設計(UI/UXデザイン)を行い、実際のプログラミング(システム開発)に入ります。ECアプリ開発において最も難易度が高いのが、既存の顧客データベースや商品・在庫データなどを管理する「EC基盤とのAPI連携」です。表側のデザインだけでなく、裏側のデータがリアルタイムかつ正確に同期されるようシステムを構築します。

Step4. テスト検証とアプリストア(Apple/Google)への申請

開発完了後、様々な端末(iPhone/Android)や通信環境で正常に動作するか、決済処理に不具合がないかなどのテスト検証(デバッグ)を入念に行います。問題がなければ、App Store(iOS)およびGoogle Play(Android)へアプリの審査申請を行います。審査には数日〜数週間かかる場合があり、ガイドライン違反でリジェクト(審査落ち)される可能性も考慮して余裕を持ったスケジュールを組む必要があります。

Step5. リリースと運用保守・マーケティング施策の実行

無事に審査を通過したらアプリをリリースします。しかし、リリースはゴールではなくスタートです。実店舗やWebサイトでダウンロードを促すキャンペーンを実施し、プッシュ通知やクーポン配信などのマーケティング施策を本格的に稼働させます。同時に、OSのアップデート対応やユーザーのフィードバックを受けた機能改善などの運用保守を継続的に行い、アプリを育てていきます。

大手企業に学ぶ!人気ECアプリの成功事例9選

① Amazon(圧倒的なパーソナライズと利便性)

Amazonのアプリは、膨大な購買データに基づく高精度なレコメンド機能と、ワンタップで決済が完了する「1-Click注文」により、圧倒的な利便性を提供しています。カメラを使った商品のバーコード検索や画像検索機能も搭載しており、「欲しい」と思った瞬間に購入できる導線が最適化されています。

② 楽天市場(ポイント経済圏と連動したUI)

楽天市場のアプリは、現在の保有ポイントや獲得予定ポイント、現在開催中のキャンペーン(お買い物マラソンなど)がひと目でわかるUI設計が特徴です。また、特定のポイントアップキャンペーンをプッシュ通知でリマインドする機能を備えており、楽天経済圏を利用するユーザーにとって、ポイントを効率よく貯め・管理するための必須ツールとして定着しています。

③ ZOZOTOWN(検索性と独自のサイズレコメンド)

アパレル特化のZOZOTOWNアプリは、ブランドやカテゴリ、カラーなど細かな条件での検索性が抜群です。さらに、過去に購入した商品や自分の体型データを元に「あなたにぴったりのサイズ」を自動で推奨する機能により、オンラインで服を買う際の最大のハードルである「サイズ不安」を解消しています。

④ ユニクロ(店舗在庫確認とオンライン連携)

ユニクロのアプリは、商品バーコードをスキャンしてレビューやスタイリングを確認できる機能や、近隣店舗のリアルタイムな在庫確認機能を備えています。オンラインストアと実店舗の境界線をなくし、顧客が最も都合の良い方法で購入・受け取りができるオムニチャネル戦略の代表格です。

⑤ 無印良品(MUJI passportによる顧客体験)

無印良品の「MUJI passport」は、買い物だけでなく、店舗へのチェックインや商品のレビュー投稿でも「MUJIマイル」が貯まる仕組みを採用しています。購買という直接的な行動以外でも顧客との接点を持ち、ブランド体験全体をゲーミフィケーション化することで熱狂的なファンを育成しています。

⑥ ヨドバシカメラ / ビックカメラ(バーコード検索と店舗受け取り)

家電量販店のアプリは、実店舗で商品を見ながらアプリでバーコードを読み取り、オンラインの価格や詳細スペックを確認する「ショールーミング」を逆手にとった設計になっています。そのままアプリで購入し、店舗の専用カウンターですぐに受け取れる仕組みを提供し、顧客の待ち時間を大幅に削減しています。

⑦ ニトリ(手ぶらショッピングと画像検索)

ニトリのアプリは、店舗にある大型家具のバーコードを読み取ってアプリ内のカートに保存し、レジに並ばずにそのまま自宅へ配送手配ができる「手ぶらdeショッピング」機能を提供しています。また、雑誌やSNSで見つけた部屋の画像を読み込ませて似た商品を探せる「画像検索機能」も高く評価されています。

⑧ ライトオン(スタッフスタイリングと店舗連携)

アパレルチェーンのライトオンは、全国の店舗スタッフが実際に商品を着用したスナップ写真をアプリ内で毎日更新しています。顧客はスタッフの身長や着こなしを参考に商品を購入でき、スタッフ個人へのファン化を促進しています。オンラインの利便性と、実店舗の「人」の魅力を掛け合わせた事例です。

⑨ アリババ(ライブコマースとエンタメ要素の融合)

中国のEC最大手アリババのアプリ(淘宝網/タオバオ)は、単なる買い物ツールではなく、インフルエンサーによる「ライブコマース(ライブ配信を通じた販売)」や、ミニゲームなどのエンタメ要素が強力に組み込まれています。滞在時間を大幅に伸ばし、購買意欲をリアルタイムで刺激する最先端のアプリ設計です。

ECアプリ導入を成功に導く6つのポイント

① アプリダウンロード率向上のための確実な導線確保

どんなに優れたアプリを作っても、存在を知られなければ意味がありません。実店舗のレジ前での声かけとPOP掲示、自社ECサイト上でのスマートバナー(画面上部に追従するダウンロード案内)の設置、商品同梱のチラシにQRコードを印刷するなど、あらゆる顧客接点でアプリの存在をアピールし、確実な導線を確保することが成功の第一歩です。

② アプリを使ってもらうための利用率(アクティブ率)アップ施策

ダウンロード直後にアプリが放置されるのを防ぐため、定期的にアプリを開く理由(アクティブ率アップ施策)を提供する必要があります。毎日引けるログインガチャ、アプリ限定の先行販売、スタッフによる読み物コンテンツの定期更新など、買い物以外の目的でも顧客が日常的にアクセスしたくなる仕掛けを設計します。

③ 綿密な購買導線設計(アプリからWeb版ECサイトへのスムーズな遷移)

アプリのフロント画面から、WebViewで表示するWeb版のカートや決済画面へ遷移する際、再ログインを求められたり、画面の読み込みが遅かったりすると、顧客はストレスを感じて離脱します。アプリとWeb間でログイン状態をシームレスに引き継ぎ、ネイティブアプリと遜色のない滑らかな購買導線を設計することが極めて重要です。

④ 顧客情報・購買データの一元管理

アプリ、Webサイト、実店舗で発生する顧客情報や購買データ、ポイント情報がバラバラに管理されていると、効果的なマーケティングは困難になります。すべてのチャネルのデータを一つのデータベース(CRMや基幹システム)に統合・一元管理し、顧客一人ひとりの行動履歴を正確に把握する基盤を構築することが重要となります。

⑤ 決済手段の充実(ワンタップ決済、各種Pay対応など)

スマートフォンの小さな画面でクレジットカード番号を手入力させることは、カゴ落ちの大きな原因の一つです。Apple Pay、Google Pay、Amazon Pay、PayPayなどのID決済・スマホ決済手段を充実させ、生体認証と組み合わせて「ワンタップで支払いが完了する」環境を整えることで、コンバージョン率(購入率)の向上が期待できます。

⑥ 実店舗との連携(オムニチャネル / OMO / O2O施策の展開)

ECアプリの真価は、実店舗との連携によって発揮されます。アプリを起点としてオンラインとオフラインの境界をなくし、顧客に一貫した購買体験を提供するオムニチャネル戦略や、オンラインから実店舗への来店を促すO2O施策をシステムレベルで実現することが、競合他社との強力な差別化に繋がります。

【重要】ECアプリ開発で陥りがちな「システム連携の壁」

アプリの「ガワ」は簡単に作れる時代になったが…

現在はノーコードツールやアプリ構築SaaSの普及により、アプリのフロント側(UI)は比較的容易かつ安価に構築できるようになっています。プログラミング知識がなくても、デザイン性の高い優れた「アプリのガワ」を短期間で作れるこの環境は、初期費用を抑えてスピーディにアプリをリリースしたい多くの企業にとって魅力的です。

アプリの真の価値は「裏側のEC基盤」との連携で決まる

フロント(UI)をどれだけリッチにしても、それ単体では売上は作れません。会員情報の統合、ポイントのリアルタイム計算、実店舗との在庫連携など、ECビジネスの根幹をなす処理の多くは「裏側のECシステム(カート)」が担っています。つまり、アプリとECシステム間でどれだけ深く、遅延なくデータ連携(API連携)できるかが、アプリ本来の価値を発揮し、成否を分ける決定的な要因となります。

SaaS型ECカートの限界(SaaSの罠)

ここで多くの企業が直面するのが「SaaS型ECカートの限界」です。手軽に導入できるSaaS型カートは、外部システムと連携するためのAPIに厳しい制限が設けられていることが少なくありません。「アプリ側で独自の会員ランク施策をやりたいのに、裏側のSaaSが対応していない」「店舗の在庫データをリアルタイムで表示できない」といった事態が発生し、結果として顧客体験(UX)が損なわれる恐れがあります。

SaaSの制限にぶつかると、企業は自社の理想とする機能を諦め、「システムの仕様にアプリを合わせる」という妥協を強いられます。一度この状態に陥ると、他システムへの乗り換えが困難になるベンダーロックインを引き起こし、将来的な事業成長の大きな足かせとなります。

フルスクラッチ開発の罠

SaaSの制限を回避するために、EC基盤そのものをゼロから構築する「フルスクラッチ開発」を選択する企業もあります。確かに連携の自由度は非常に高いですが、莫大な初期費用がかかるうえ、数年後にはシステムが老朽化し、担当者不在で改修できなくなる「技術的負債」を抱えるリスクが極めて高くなります。コストパフォーマンスや保守性の観点から、これも最適解とは言えません。

アプリ連携に最適なEC基盤「EC-CUBE」という選択肢

EC-CUBE公式サイト

業務適応型コマース基盤としての「EC-CUBE」

SaaSの「連携制限」とフルスクラッチの「コスト・負債リスク」。この両者の行き詰まりを打破する第三の選択肢が、業務適応型コマース基盤である「EC-CUBE」です。EC-CUBEは、フルスクラッチよりも大幅に安価に構築でき、一般的なSaaSやパッケージよりもはるかに自由なカスタマイズが可能な、オープンソースベースのECプラットフォームです。

自由なAPI連携で「脱・SaaSの妥協」を実現

EC-CUBE最大の強みは、外部システムとの自由なAPI連携機能です。アプリ側で高度なUIや複雑な要件(独自のポイントプログラム、基幹システムとの連携、リアルタイムな店舗在庫表示など)が求められる場合でも、EC-CUBEであればEC基盤側を柔軟に最適化できます。「システムの仕様にアプリを合わせる」という妥協をなくし、企業が思い描く理想の顧客体験を柔軟に実装することが可能です。

ソースコードと顧客データを自社の「デジタル資産」に

SaaSを利用する場合、システムも顧客データもプラットフォーム側に依存することになります。しかしEC-CUBEであれば、カスタマイズしたソースコードや蓄積された顧客データを、自社の「デジタル資産(持ち家)」として自社で所有・コントロールできます。これにより、将来的なアプリの機能拡張や、データを活用した高度なマーケティング施策を、他社の制限を受けることなく自由かつ長期的に展開できます。

EC-CUBEを活用した高度な連携・オムニチャネル事例

実際にEC-CUBEを活用し、アプリや実店舗との高度な連携を実現している企業の事例は多数存在します。 例えば、崎陽軒様の事例では、オンラインで注文した商品を実店舗で受け取るための複雑なバックヤード運用をEC-CUBEで構築し、スムーズな店舗受取を実現しています。また、プラス様の事例では、実店舗とECサイトの顧客情報・ポイント情報を統合し、高度なオムニチャネル環境を構築することに成功しています。このように、実店舗連携を伴う複雑な要件において、EC-CUBEは高いパフォーマンスを発揮します。

ECアプリの今後の展望と最新トレンド

AI(人工知能)やAR(拡張現実)技術の活用による疑似体験

今後のECアプリでは、AIによるパーソナライズがさらに高度化し、個人の趣味嗜好に合わせた商品提案の自動化が進むと予想されます。また、AR(拡張現実)技術を活用し、スマートフォンのカメラ越しに家具を自分の部屋に配置してみたり、自分の顔にメイクを重ねてみたりする「バーチャル試着・疑似体験」機能が標準化され、購買のハードルをさらに下げていくと予想されます。

OMO(オンラインとオフラインの融合)のさらなる進展

アプリを起点としたオムニチャネル化は、さらに一歩進んで「OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)」へとシフトしています。顧客が実店舗にいるのか、自宅でアプリを見ているのかを区別せず、常に最適なタイミングで最適な情報を提供するシームレスな購買体験が、今後のECビジネスにおける競争力の源泉となります。

ローカライズや越境ECアプリの可能性

国内市場だけでなく、海外の消費者をターゲットにした越境ECアプリの需要も高まっています。現地の言語、通貨、決済手段、配送方法にローカライズされたアプリを提供することで、世界中の顧客に直接アプローチすることが可能になります。多言語・多通貨対応の柔軟なシステム基盤を持つことが、グローバル展開の鍵を握ります。

まとめ

ECアプリは「作って終わり」ではなく「育てていく」もの

ECアプリはリリースして完成ではありません。顧客の利用データを分析し、機能改善やUIの改修、魅力的なコンテンツの配信を継続的に行うことで、初めて売上に貢献するツールとなります。常に変化する市場のニーズに合わせて、アプリを「育てていく」という視点が重要です。

アプリのポテンシャルを最大限に引き出すには、柔軟なEC基盤が重要

フロントのアプリをどれだけ育てようとしても、裏側のEC基盤がSaaSなどの制限の多いシステムであれば、すぐに成長の限界を迎えてしまいます。アプリのポテンシャルを最大限に引き出し、高度なマーケティングやオムニチャネル施策を実行するためには、自由にAPI連携や機能追加ができる柔軟なEC基盤を選ぶことが最も重要です。

自社のデジタル資産となる「EC-CUBE」で、理想の顧客体験を実現しよう

「システムに業務を合わせる」妥協から脱却し、自社の強みを最大限に活かしたECアプリを構築するなら、カスタマイズ性と資産性に優れた「EC-CUBE」が有力な選択肢の一つです。SaaSの限界を感じている方、またはこれから本格的なアプリ連携・オムニチャネル化を目指す方は、ぜひEC-CUBEの導入をご検討ください。

ECアプリに関するよくある質問(FAQ)

ECサイトとECアプリ、どちらを先に作るべきですか?

基本的には「ECサイト(Webブラウザ版)」を先に構築することを推奨します。ECサイトは検索エンジン(SEO)経由での新規顧客獲得に向いており、まずはここで一定の売上とリピーターの基盤を作ることが重要です。固定客が増え、リピート購入の利便性やロイヤルティを高めるフェーズに入った段階で、ECアプリを導入するのが投資対効果が高いとされる一般的な手順です。

アプリの保守費用は毎月どのくらいかかりますか?

開発手法によって異なりますが、一般的には月額10万円〜数十万円程度の保守費用が発生します。これには、サーバーの維持費に加え、iOSやAndroidのOSアップデートに伴う不具合対応、セキュリティパッチの適用などが含まれます。アプリは「作って終わり」ではなく、継続的なメンテナンスコストがかかることを事前に事業計画へ組み込んでおく必要があります。

既存のECサイト(ShopifyやEC-CUBEなど)をアプリ化することは可能ですか?

はい、可能です。ただし、利用しているEC基盤によって難易度が大きく変わります。ShopifyなどのSaaS型カートはAPIの制限が厳しく、アプリ側で独自の要件(複雑なポイント連携など)を実現しようとすると制約に引っかかるケースが多々あります。一方、EC-CUBEのようにカスタマイズを前提としたオープンソース基盤であれば、アプリの要件に合わせて裏側のシステムを自由に改修できるため、アプリ化および高度なデータ連携が非常にスムーズに行えます。

監修

株式会社イーシーキューブ

国内No.1シェアを誇るEC構築オープンソース「EC-CUBE」の開発元企業です。親会社の株式会社イルグルム(東証スタンダード市場上場)とも連携し、戦略立案から構築・運用・マーケティングまでワンストップのEC支援を行っています。これまで数多くのEC構築・改善を手がけてきた知見を活かし、実務に役立つノウハウや導入事例などを分かりやすく解説・発信しています。「ECサイトをどう作ればいいのか分からない」「既存サイトをもっと強化したい」「ECサイトの運営について詳しく知りたい」…そんなお悩みをお持ちの方々に、少しでもヒントとなる情報をご提供できれば幸いです。
※ 独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による

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