「単品通販」とは?今注目されている物販モデルの特徴と成功のポイントを詳しく解説
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かつて「通販(通信販売)」といえばテレビショッピングやカタログ通販が中心でしたが、今やインターネット通販が中心となり、そのビジネスモデルは年々多様化しています。中でも近年特に注目を集めているのが「単品通販」といわれる業態です。この言葉自体は、物販に関心のある方以外はなじみがないかもしれませんね。
今回は、単品通販とはどういうものかを解説すると共に、そのメリットやデメリット、これから単品通販を始めたいという方向けに失敗しないためのポイントや当社の成功事例をご紹介したいと思います。
目次
単品通販とは?
単品通販とは、ECサイトなどでの通信販売において「販売する商品を限定する」ビジネスモデルをいいます。
言葉通りの意味だと「単品」、つまり1個の商品のみを販売する通販ということになりますが、1商品のみを販売するケースに限らず、次の場合も単品通販に該当します。
- 特定ブランドの商品のみを販売する場合(ある健康食品ブランドのサプリメントやドリンクのみを販売するなど)
- 特定ジャンルの商品のみを販売する場合(男性向け化粧水のみを販売するなど)
単品通販のビジネスモデルの特徴
商品のラインアップが限られている単品通販をビジネスとして成り立たせるためには、前提として「同じ商品を何度も購入してもらう」ことが必要になります。そのため、単品通販を行う場合は、顧客がスムーズに購買行動を起こせるよう、次のような販売モデルに重点を置くのが特徴の一つです。
- リピート購入:過去に購入した商品・サービスを繰り返し購入すること
- 定期購入:一定の期間で商品を継続的に購入すること
- サブスクリプション(サブスク):定期的な支払いで商品・サービスを継続利用できる購入モデル
また、単品通販というビジネスモデルの性質上、商材の向き・不向きがあります。これについては詳しくは次章でご説明いたします。
さらに、これはECサイトにおける単品通販に限った特徴ですが、一般的なウェブサイトよりも個々の商材ごとにLP(ランディングページ)を作成し、そこに集客する形式がとられることが多いです。単品通販では1つの商品の販売動向がビジネス全体に与える影響が大きいため、LPに豊富な情報を載せて商品の魅力を強く発信し、訴求力を高め、顧客の購買意欲を喚起させる必要があるのです。
単品通販と総合通販
単品通販と対極にあるビジネスモデルが「総合通販」です。これは文字通り、一つのプラットフォームで複数のジャンルやブランドの商品を販売する手法になります。
ECサイトでいえば、Amazonや楽天市場のように多数の企業・メーカーの商品を集約して販売するECモールは総合通販にあたります。また、一社で多種多様な商品ジャンルやブランドを取り扱う大手メーカーの通販も総合通販の一つです。
豊富な品揃えを持つECサイトは顧客にとっても便利ですし、「とにかく取扱点数を増やさねばECは成功できない」と考えている方も少なくありませんが、これはある意味、相応の資本やリソースを持つ企業向けの戦略と言えるでしょう。
また、単品通販は特定の顧客層をターゲットとするのに対して、総合通販は広範囲のターゲット層に対応する必要があり、広告戦略にも工夫が必要です。各企業は、自社の商品特性や事業規模に応じて適切な通販戦略を選びましょう。
単品通販サイトの代表的な成功事例
単品通販のことをあまりご存じない方の中には「単品通販=商品点数が少ない=ビジネスの規模が小さい」といったイメージを持たれている方がいるかもしれません。
しかし実際は、自社製品の単品販売から大きな成功を収めているECサイトも数多くあり、よく知られたものでは次のようなサイトがあります。いずれもスキンケア・ヘルスケアなど特定のジャンルに限定した単品通販で、ブランドの世界観に合った商品展開やリピート購入のしやすいサイト設計が行われているのがわかると思います。
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単品通販が向いている商材
前章で、単品通販では顧客に同じ商品を何度も購入してもらう必要があると申しましたが、言い換えれば、企業は「顧客が何度も購入する必要がある商材」を選ばなければならないということです。単品通販の商材には向き・不向きがあり、事業者はこれを知っておかないと想定外の失敗を犯してしまう可能性があります。
単品通販が向いている商材には、次の2つの特徴があります。
①何度も買い替える(買い足す)必要があるもの
食材や化粧品、サプリメントといった日常的に利用され、定期的に補充が必要な消耗品は、買い替えの頻度が高く、また基本的に消費者は同じものを使い続ける傾向が強いため、単品通販のビジネスモデル(同じ商品を何度も購入してもらう)に適した商材といえます。
逆に家電製品やパソコンのように、一度購入したら当分は同じものを使い続ける商品(寿命の長い商品)は単品通販には不向きです。
②他に替えのきかないもの
顧客に同じ商品を買い続けてもらうためには、「そこでしか買えない」という希少性が商品になければなりません。いくら優れた効果や性能がありニーズの高い商品でも、それがどこにでも売っているものであれば、顧客は購入の時点でより安く買えるサイトを選ぶでしょう。価格競争の中で顧客を囲い込める企業はごく限られます。
したがって単品通販では、ありきたりなものでない、他に替えの効かない商品を取り扱うのが理想です。「特定のターゲットや利用シーンにマッチしている」「希少な素材を用いている」「独自の製法で作られている」といった、特徴やこだわりを持っている商品ほど希少性が生まれ、ニーズに合致した顧客の乗り換えが起きにくく、リピート購入につなげやすくなります。
特に昨今は健康・美容に関する消費者の意識が高く、このジャンルで素材・成分・効能などにこだわった商品は単品通販に非常に適していると言えます。
単品通販のメリット
単品通販というビジネスモデルがどういうものかについてはご理解いただけたかと思います。次に、単品通販を行う主なメリットを、一般的な総合通販と比較する形でご説明していきます。
スモールスタートしやすい
単品通販の最も大きな強みは、スモールスタート(新しい事業を、大がかりな準備をせず小規模から始める)がしやすい点です。
多品目の商品を扱う総合通販では、商品ラインアップを揃えるだけでなく、多様な商品在庫や仕入れ・物流ルートの管理体制を構築する必要があり、そこにコストや人件費が発生します。一方、取り扱う商品を限定できる(商品1点だけでも販売が可能)単品通販なら、在庫管理が容易ですし、パッケージや配送作業の手配もシンプルです。また、品数が少ないということは商品開発や広告宣伝にかかる労力やコストも小規模で済みます。
こうした点から、単品通販は新規参入のハードルが低く、小規模からでも始めやすいと言えるでしょう。
ターゲット層を絞れる
取り扱う商品やジャンルを限定する単品販売では、販売対象となるターゲットを絞り込むことができます。そのメリットは、商品開発やマーケティング戦略をターゲットに合わせて最適化できる点です。
例えば前述のBULK HOMME様のように「男性向けスキンケア・ヘルスケア」に商品を特化している場合、ターゲット層のペルソナは「20~30代のQOL向上への意識が高い男性」に限定されます。ここに訴求するための商品企画・パッケージデザイン・広告戦略などの方向性が明確になり、リソースを効果的に集中させられるのです。
特にオリジナルの商品を制作して知名度のない状態から新規販売する場合、ターゲットを絞って一個の商品を強く訴求しやすい単品販売の形でないと、ビジネスを軌道に乗せることは難しいでしょう。
総合通販では多岐にわたるジャンルの商品を販売するため、ユーザー層も幅広く、全方向的なマーケティングを行う必要があります。
収益の予測を立てやすい
上述したように、単品通販の基本的な収益モデルは定期購入やサブスクです。いずれも商品が購入された際の当面の売上は確保されますので、経営者サイドとしては収益の予測が立てやすいというメリットがあります。もちろん定期購入してくれる顧客が増えるほどその収益は安定していきます。
一方、通常の物販ではその時々の売上によって収益が左右されますので、収益が大幅に伸びる月もあればその逆もありで、収益が不安定になりがちです。
また単品通販では、売れ筋の商品が絞られやすい点や、商品の独自性から他社との価格競争になるリスクが小さい点も収益性が安定しやすい一因といえます。
顧客との関係強化
単品通販の商材として日常的に利用する消耗品が向いているというのは先にご説明した通りですが、こうした日用品は、購入頻度が多く定期購入につなげやすいというだけでなく、その購入履歴に顧客の日常生活における身近なニーズが反映されやすいという面があります。
これは大いに注目すべき点で、企業側は購買データから顧客の顕在・潜在的なニーズを分析して、他の商品をリコメンドしたり、個々のニーズに合った販売促進を行ったりすることができます。定期購入では企業から定期的に商品を届ける際に顧客との接点が生まれるため、アプローチもしやすくなります。
さらに単品通販では商品のターゲット層を絞り込むため、ターゲット層の興味関心に合った情報発信や価値のあるコンテンツ提供をしやすく、これもユーザーにとっては企業への信頼構築につながります。
単品通販のデメリット
魅力やメリットの多い単品通販ですが、良いことばかりではありません。単品通販というビジネスモデルが抱える欠点についても知っておきましょう。
一部商品に売上の依存度が偏る
総合通販のように幅広い商品を取り扱うメリットは、目立って万人に売れるような人気商品がなくても、適度に売れる商品を多数販売することで収益の安定化が可能な点です。
特に、売れ行きの良い主力商品に依存せず、ニッチな商品を幅広く取り扱うことで事業の売上を構成する手法を「ロングテール戦略」といいます。
逆に、品数やジャンルを絞る単品通販ではこうした販売戦略を取ることができません。一部の主力商品に売上の依存度が偏るため、その売上が順調なうちは良いですが、競合商品の出現やトレンドの変化などによって売上が一気に激減してしまう恐れがあります。ある意味でリスクの高い通販手法といえるでしょう。
収益機会やターゲット層に限界がある
商品点数やジャンルを絞ることで、逆に自社商品のラインアップだけで様々な顧客の多様なニーズに対応するのは難しくなります。市場のトレンドの変化にも対応しにくく、収益機会の拡大という点ではマイナスです。
また総合通販では、ECサイトで豊富な商品群に触れた顧客の「ついで買い」や追加購入といった相乗効果も見込めますが、単品通販ではその点では不利と言えるでしょう。
さらに「男性・20代・美容に興味」といった具合にターゲット属性を絞るほど、シンプルに販売対象となるユーザーの頭数は少なくなります。これは一部のペルソナにより強く深く訴求できるという面もありますが、いずれにせよ少ないパイを確実に取れるよう綿密なマーケティング施策を講じると共に、新たな顧客層の開拓も視野に入れておくことが大切です。
立ち上げ時の集客が難しい
一般に企業が単品通販を行う場合、その商材は自社のオリジナル商品であるケースが多いです。すでに述べた通り、他に替えのきかない独自性の高い商品ほど単品通販という物販モデルには適しています。
しかし一方で、オリジナル商品というのは当然に市場での知名度・認知度が高くありません。どんなに良い商品であっても、顧客層に知られなければ購入されることはないでしょう。したがって通販開始初期の集客・マーケティングは非常に重要で、広告宣伝費が大きくなりやすいのはデメリットといえます。
単品通販の成功は「商品企画」にかかっている
ここまでご覧いただいたように、単品通販という販売手法にはメリットもデメリットもあり、その成否はやはり運用次第ということになります。では単品通販で成功するために最も大事なことは何でしょうか?それはズバリ「商品企画」です。
最初に申し上げた通り、単品通販は「同じ商品を繰り返し購入してもらう」ことで初めて成立するビジネスです。どれだけ多くの顧客に買っていただいても、それが一回こっきりだと事業は頓挫します。そして繰り返し購入してもらうためには、「何度も欲しい、繰り返し使いたい」と顧客に思ってもらえる商品を生み出す以上の施策はないのです。
- 何度も使いたいと思える、商品の質の良さや安全性
- 日常の悩みや困り事を改善・解決できる利便性
- 独自性や世界観でコアなファンに訴求するブランド力
- ターゲット層が無理なく定期購入できる価格設定
- 欲しい時に欲しいだけ購入できる生産・供給体制
このように様々な角度から、いかにして商品価値を高め、ユーザーのリピート率を上げるかを真剣に考えましょう。単品通販は取り扱う品数が少ないぶん、一個の商品開発やマーケティングにリソースを割くことができます。
リピート購入しやすいサイト設計や仕組み作りも大事ですが、何よりも「リピート購入したいと思える商品の企画」が最も重要であることを忘れてはならないでしょう。
その他の単品通販・成功のポイント
単品通販でより多くの成果をあげるためには、この手法の特徴を踏まえた販売のポイントを知っておくことが大切です。上述の「リピートしたくなる商品の企画」は前提条件として、その他に事業者が意識しておきたい要点をいくつかご紹介します。
ターゲット層にマッチした販促
繰り返し申しているように、単品通販は対象ターゲット層を絞り込む販売手法です。したがって広告宣伝のターゲティングを誤ると、その損失は非常に大きなものになります。
商品を売りたい顧客層のペルソナを明確にし、その趣味・嗜好やライフスタイルにマッチしたマーケティング施策を行いましょう。「広告はどの媒体に出稿すれば良いか」「曜日や時間帯はいつがベストか」「広告やサイトのデザインはどんなテイストが良いか」など、検討すべきことはたくさんあるはずです。
LPの最適化
単品通販では販売する商品を絞るぶん、その商品一点一点の特徴や魅力を分かりやすく発信し、ユーザーに深く強く訴求する必要があります。その手法としてよく用いられるLP(ランディングページ)の最適化を継続的に行うことは、単品通販ではより重要です。
初見でも分かりやすい商品説明やページデザイン、アピールポイントが明確で離脱せず最後(購入)まで到達しやすい導線設計などの一般的なLP改善施策はもちろん、LPへの流入元となった広告や媒体、検索キーワードなどを分析し、訪問者のニーズに応じてLPの内容を変更するなどの工夫も必要になります。
初回購入のハードルを下げる
市場の認知度の低いオリジナル商品を単品通販で販売する場合、競合商品と同じように売り出しても勝ち目はありません。そこで、最初は商品の認知に重点を置き「初回購入の方は50%割引」「無料サンプル差し上げます」といったキャンペーンで、初回購入のハードルを下げる施策を積極的に取り入れましょう。
もちろん多くの場合、初回購入の段階では赤字になりますが、商品の良さを体験してもらえばリピート購入も期待できます。初回購入者のF2転換率やF3転換率(2回目・3回目の購入に至った割合)に注目し、LTV(顧客生涯価値)での損益分岐を意識した中長期的な視点で、単品通販の収益性を評価することが大切です。F2・F3転換率の目標値をKPIに設定することでより効果的なマーケティング活動が展開できるでしょう。
リピーターを増やす
単品通販で売上を伸ばすためには、リピーター獲得は最重要課題です。商品点数と購買者数が限定される以上、前述のLTV向上という観点からも、同じ人に同じ商品を何度も購入してもらう必要があります。
そのためには、単に「また買ってくださいね」とお願いするばかりではなく、顧客がリピート購入にメリットを見出せる様々な施策が必須です。具体的には「定期購入によって通常よりもお得に買える」「会員登録で限定特典を受けられる」などがあり、特に「会員登録」は顧客のリピーター化につながる重要なアクションですので、会員特別価格・限定クーポン・便利なマイページ機能などを用意してより多くの会員獲得に注力しましょう。
これももちろん商品に「リピート購入したい魅力がある」ことが大前提ですので、色々と施策を設けてもF2・F3転換率が伸びない場合は、価格設定の見直しや商品の改善を検討してください。
アップセル・クロスセルで購入単価を上げる
アップセルとは、より高額な商品の購入や同じ商品の「まとめ買い」を促す施策です。グレードの高い上位モデルの提案や「3点買うと送料無料」といったセールはアップセルにあたります。
またクロスセルは、主力商品と関連した別の商品の購入を促す施策です。例えば主力商品のシャンプーと合わせて同ブランドのコンディショナーやトリートメントを提案するようなことです。
これらはいずれも顧客の「購入単価」を引き上げる効果があり、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上につながります。LTVとは、1人の顧客が商品の利用(購入)開始から終了までの期間に、企業にどれだけの利益をもたらすのかを表す指標で、特に単品通販においては重視されます。
LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 平均購入頻度× 平均継続期間
ECサイトを設計する際は、リコメンド機能などを活用して、購入導線の中で無理なくアップセル・クロスセルを提案できる形が理想です。
単品通販サイトにぜひ導入したい機能
単品通販を行う企業は、ほとんどの場合、自前のECサイトを持つことになります。単品通販を成功させるために大切な要件はここまでご説明してきた通りですが、それらを具現化するためには、相応の機能を有したECサイトが必要です。
一般に、サイトを多機能化するほど制作コストもかかります。特に小規模な通販から始める場合は、イニシャルコストを抑えるためになるべくコンパクトなサイトにしたいところですが、それでも単品通販では外せないEC機能というものもあります。中でも次にあげる3つの機能はぜひ導入することをお勧めします。
定期購入機能
定期購入機能とは、その名の通り、設定した間隔で定期的に自動決済や受注処理を行える機能のことです。顧客の買い忘れをシステム的に防ぐことができ、事業者にとっては安定した売上の確保につながります。
すでに申し上げている通り、単品通販はリピート購入の顧客をいかに獲得できるかが成否を決めます。その意味でこの機能は必須と言って良いでしょう。また、定期購入の数量や商品発送の間隔を顧客が自由に設定できる機能などがあると、顧客満足度の向上や解約の抑止につながります。さらに定期購入に合わせたキャンペーン(割引・クーポン配布など)を設定できる機能もリピート促進に効果的です。
ステップメール機能
ステップメール機能は、顧客の行動や特定の日付(「商品購入日の○○日後」など)を起点として、あらかじめ設定したメールを段階的に自動配信する機能です。
例えば、「消耗品を購入した顧客に対して、ちょうど商品を使い切りそうな時期に次回の注文を促すステップメールを送る」といった手法は単品通販でよく使われます。他にも「商品購入から数日後に、商品の使用感についてレビューを促すメールを送る」「長期間購入のない顧客に対して割引クーポン付きのメールを送る」「購入済みの商品に類似した商品を紹介するレコメンドメールを送る」など、様々な販促アプローチが可能です。
顧客のリピーター化が至上課題である単品通販では、こうした丁寧な顧客育成が非常に重要になりますので、ぜひ導入してください。
データ収集・分析機能
上述したステップメールのように、顧客に対して時宜にかなった適切な販促・マーケティングを行うためには、個々の購買データをはじめ、商品の閲覧履歴や顧客行動を把握・分析できる体制が不可欠です。ECサイトやLPへの流入から閲覧・カート投入・購入・リピート継続まで、一気通貫でデータ収集を行える機能が備わっていれば、単品通販を行う事業者にとっては大きな力となります。
また、収集した顧客データや店舗の運用状況を可視化しレポートを作成できる機能があると、サイト運用のPDCAに非常に有用です。
EC-CUBEで構築した単品通販の成功事例
単品通販は、これから自社オリジナル商品をECで販売していきたいという小~中規模の事業者様にとっては特に魅力的な販売手法といえます。ここまでご説明してきた特徴やポイントを理解した上で、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
最後に、私たちイーシーキューブ社が開発・提供するオープンソースECパッケージ「EC-CUBE」でECサイトを構築し、単品通販で大きな成果を上げられている株式会社ビタブリッドジャパン様の事例をご紹介いたします。
「Vitabrid」ブランドで化粧品やサプリメントの開発・販売を行う同社は、2014年の創業からわずか9年で年商125億円を突破しました。その躍進の理由は、製品の品質の良さはもちろんですが、EC-CUBE最大の特徴である「自在のカスタマイズ性」をフル活用して、同社が理想とするビジネスの仕組みをECサイトとして構築できた点も見逃せません。
Vitabrid公式サイトに実装された主なカスタマイズをご紹介します。
- 対応履歴メモ管理機能の追加
顧客ごとにコールセンターの対応履歴を記録・管理しておける機能です。365日フル稼働するコールセンターの対応が顧客満足度を左右するという考えからこの機能が生まれました。
過去のログをオペレーター間で共有できるため別の担当者でもスムーズな顧客対応が可能。どのオペレーターがメモを入力したか、月間で何件対応したかなどのデータ分析も可能で、CRM機能の強化につながっています。 - BIツールとの連携
外部サービスとの連携が容易なこともEC-CUBEの利点で、同社でも様々なサービスを連携されていますが、特に使用頻度が高いのがBIツールです。EC-CUBE内のデータを必要に応じてBIツール側で参照できるように構築し、売上の把握や予測に活用されています。 - フルスクラッチによる定期購入機能
現在EC-CUBEには定期購入機能がありますが、Vitabridサイト構築時はまだ未開発だったため、同社はフルスクラッチにより独自で定期購入機能を構築されました。管理画面はコールセンターのモニターサイズに合わせて一画面で見られるように調整するなど、利便性を追求したカスタマイズとなっています。
単品通販・成功の秘訣は「小さく始めて大きく育てる」
単品通販で大きな成功を収められたビタブリッドジャパン様ですが、もちろん最初からこうした大規模なECを展開されていたわけではありません。
同社ではサイト開発にあたり「小さく始めて大きく育てる」、つまり最初は小規模なECから始め、成果が出始めたら徐々にサイトも成長させていくという方針で進められています。現場の声を聞きながら、徹底したカスタマイズで成長のステージに合わせて機能追加を重ね、顧客満足度の非常に高い通販プラットフォームが完成しました。
これは、全ての単品通販に通じるといっても良い考え方です。通販ビジネスはある意味、やってみなければ分からない部分も多々ありますが、この方針だと万一ビジネスがうまくいかなかったとしても損失は最小限に抑えられます。逆に成功を期するあまり最初から大きなリソースを投入するのは危険です。単品通販を始めようと考えている方々は、ぜひご参考になさってください。
ビタブリッドジャパン様の事例についてより詳しい記事はこちらをご覧ください。
単品通販に必須の機能を搭載「EC-CUBE Enterprise Subscription」
単品通販は、最初は少ない商品・ジャンル数であっても、軌道に乗れば大きな成長を遂げる可能性を秘めています。そしてビタブリッドジャパン様のように「小さく始めて大きく育てる」という戦略が実現できるのは、成長に応じてサイトを改変できる柔軟性があってこそです。これが開発の制限が多い外部ASPやカスタマイズ性に乏しいECシステムだと、こうした運営は難しいでしょう。
同社が創業以来、EC-CUBEを選ばれているのはまさにその柔軟性の高さをご評価いただいてのもので、システム設計担当者様の「小さな改善やかゆいところに手が届くカスタマイズができるのがEC-CUBEの良さ」という言葉通りです。
イーシーキューブ社では、昨今の単品通販のニーズにおこたえできるよう、エンタープライズ向けパッケージ「EC-CUBE Enterprise」に定期購入機能を搭載した「EC-CUBE Enterprise Subscription」をリリースいたします。
同製品は、単品通販の効率的な運営には欠かせない定期購入作業の自動処理をはじめ、マイページ・管理画面上からの細かい設定も可能にした高機能な定期購入・サブスクリプション機能を搭載しています。
10年以上の稼働実績があるEC-CUBEの定期購入プラグインのノウハウを元に構成されており、その利便性は実証済みです。
小規模・低コストから単品通販を始められる従来のオープンソース版パッケージと、中~大規模の通販サイト運用にも順応できる「EC-CUBE Enterprise Subscription」。私たちのEC-CUBEが、あらゆる企業様・個人様の単品通販ビジネスにお役立ていただけると確信しております。
詳しくは特設サイトをご覧ください。
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