「本当にできる?EC-CUBEで今すぐ始める越境EC。PayPal×tenso×EC-CUBE海外進出支援セミナー」開催レポート

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こんにちは。ネットショップの壷編集部です。
今回は、PayPal Pte. Ltd.・tenso株式会社・株式会社ロックオンの3社共催で、10月26日(木)に開催した、越境ECに関するセミナーの様子をレポートいたします。

「『EC-CUBE』で始める越境ECを実際の事例とともにご紹介」

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まず、株式会社ロックオン EC-CUBEマーケティングマネージャー 梶原直樹より「日本の商習慣に強く、柔軟にカスタマイズできるEC-CUBEを使い、海外にモノを売りたいというニーズが高まっていますが、本格的に始めるには、言語・決済・物流・運用といった障壁を乗り越える必要があります。実際にカスタマイズで越境ECに対応されている事例をご紹介します」と、株式会社システムフレンド様による、言語(日英簡繁)・物流(EMS・重量による計算)・法律(消費税・輸出不可商材)・書類作成(インボイス)といったカスタマイズを施されている事例をご紹介しました。

「今では、越境ECのためのプラグインも多数出ています。しかし、最初はもっと簡単に、越境ECをお試しいただきたい。実は、EC-CUBEで越境ECを”簡単に”始める方法があります。」として、tenso株式会社のご紹介につなげました。

「『ゼロ』から始める海外販売」

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日本の事業者様が販路を拡大するための手段として注目を浴び、ビジネスチャンスとされる「越境EC」。しかし、越境ECに挑戦して、撤退した企業も数多く存在しています。

tenso株式会社 執行役員 浜田祐輔氏による登壇では、創業時から越境ECサポート事業に特化し、国際配送における日本最大級の出荷数を持つ実績と経験に基づき、国内のEC事業者様がどのように『越境ECの第一歩』を踏み出すべきか、具体的な方法について解説がありました。

国内のEC事業者が越境ECを始める時には、『言語』『決済』『物流』『カスタマーサポート』『プロモーション』などの壁に直面しますが、完璧にやろうと思わないことが大事です。
“どの国からアクセスがあり、どんな商品が売れるのか”がわからなければ、手間や無駄なコストが発生することに繋がります。
越境ECを始める際に大事なことは、手間やコストを掛けず、兆しを見つけて、自分たちの商品が海外に売れるかの可能性を知ることだと言います。

浜田氏によると、まずはGoogleアナリティクスなどの解析ツールを使って海外のどの国からアクセスがあるかを調べ、転送コムを使ってテストマーケティングを行うのがいいと話します。
自社サイトが日本語だけだったとしても、海外から日本の商品を購入したい人が日本語が読めることは少なくありません。転送コムが提携する1700社にヒアリングしたところ、どのECサイトにも5%程度の海外アクセスがあることがわかっています。

海外アクセスがあれば、そのターゲットに絞って海外販売を行えばいいでしょう。そこで、次に課題になるのは海外発送です。
この課題は、転送コムと連携すれば一切費用をかけずに海外発送することが可能になります。転送コムからは海外からアクセスされた場合にのみ表示される、特殊なバナーが提供されますので、バナーを貼るだけで海外発送対応ができます。

まずは完璧にやろうとせず、簡単に始められる形で『小さな一歩』を踏み出していただきたい。結果的に、その方が越境ECに近づきやすいですと話を締めくくられました。

「最新越境EC事情と海外販売でのペイパルの活用」

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続いて、PayPal Pte. Ltd. 事業開発部 部長 野田陽介氏の登壇では、
「ペイパルはインターネットを利用したオンライン決済サービスで、購入者はペイパルにクレジットカード情報を登録しておけば、支払先にクレジットカード番号を教えることなく、IDとパスワードだけで、安全・迅速・簡単に支払いができます。
 一方、販売者は従来のクレジットカード決済に加え、ペイパルを決済手段に追加することで、売上アップを図ることができますので、買い手・売り手の双方にメリットがあります。
 国内でも海外でも、購入者が利用したい決済手段がないと、6~7割はカゴ落ちしてしまうので、『購入者が利用したい決済手段』を用意することが重要です。また、ペイパルやクレジットカードブランドなどのロゴが、ECサイトに掲載されているか・いないかでも、カゴ落ち率は大きく変わります」
と、ペイパルのメリットやコンバージョンを上げる方法を紹介。

さらに、ペイパルによる「越境ECグローバル調査2016」のレポート結果として、中国の越境ECユーザーの購入先国は日本と韓国が同率1位、アメリカの越境ECユーザーの購入先としては中国・イギリス・カナダについで日本は第4位と、”日本のECサイトで買い物をされる方は非常に多い”という調査結果についても、スライドを交え解説しました。

当日、会場ではペイパルとジャパンEコマースコンサルタント協会JECCICAによる「中小EC企業向け2016年EC戦略白書」の冊子も配布されており、
「売り手側は、囲い込み戦略として、ECサイトで会員登録をさせたいのですが、買い手の96%は会員登録に抵抗を持っています。『商品を探し、カートに入れて、配送先住所などの個人情報を入力し、クレジットカード情報を入力する』というフローの中でも、個人情報の入力をする部分で、カゴ落ちされることが多い。
 ペイパルでは、配送先住所の入力を必要とせず、ペイパルにあらかじめ登録してある配送先住所を利用することで、買い手はECサイトに個人情報を入力しなくてもよい『ショートカット』という機能があります。」
と、カゴ落ち防止策として有効なペイパルの機能についても説明がありました。

パネルディスカッション「始める前に知っておきたい!参加者と考える、越境ECの『正解』とは。」

最後には、梶原がモデレーターを務め、登壇者全員と、ゲストに、マシュマロ専門店やわはだ株式会社 マーケティング任責任者 木鋪智史氏・株式会社システムフレンド 取締役社長 朝山俊雄氏をお迎えし、パネルディスカッションを行いました。

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「越境ECを始めたきっかけは?」という質問には、「当時、ベーグルや焼き菓子といった商品の1つとしてマシュマロがあった。マシュマロの柔らかいところが猫の肉球に似てることから肉球や猫の形のマシュマロを始めたところ、猫ブームやSNSの一般化に後押しされる形で人気が出た。ある日、有名なYoutuberのtwitterアカウントでツイートされたことがきっかけで、海外からも注文が押し寄せるようになり、やむなく越境ECを開始しました。海外のお客様からは、溶かしてクラッカーに挟んだり、ドリンクに混ぜて飲んでいたマシュマロを、肉球や猫の形にするとは、なんてクリエイティブなんだ!と驚かれています。」とマシュマロ専門店やわはだ 木鋪氏が回答。
最初はEMSで送っていたものの、都度発送作業をするのが大変で、tensoのサービスにたどりついたという。

最古参のインテグレートパートナーとして、長年の構築経験を持たれているシステムフレンド 朝山氏は、「インバウンドのご相談は多いですね。空港から自宅までスーツケースを配送する業務をされていた事業者様が、海外のお客様向けに骨董品を手渡しで販売されるようになったというケースもあります。先日、アニメ産業の市場規模が初めて2兆円を超えたというニュースが話題になっていましたが、そういったホビー系もあります。
全体に、特に越境向けの商品を開発されているのではない限り、いきなり越境ECをやりたい、というよりも、需要が高まって、インバウンドもやらないといけなくなったという形でスタートされる方が多いです。」と越境ECへの印象を語りました。

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続いて、「運用で工夫したことは?」という質問になり、マシュマロ専門店やわはだ 木鋪氏は「よくある質問をテンプレート化して、お客様に不安を与えないよう、なるべく早く返信できる体制を整えました。8割はテンプレートで返信できるようにしています。」と回答。
システムフレンド 朝山氏が「サイト構築の部分では税率やインボイス・配送・言語等々、課題は多いが、一番大変なのが送料。EMSは重量で全然金額が違うため、高めの送料を設定しておくしかないケースもある。」と話すと、tenso 浜田氏が「tensoは配送会社との契約も行います。EMSは最大30キロ、国に寄っては20キロまでしか対応していないが、tensoではDHL・FedEx・船便など複数の手段があるので、その部分は安心いただける」とコメントしました。

さらに、「海外にどうやってアプローチしたらよいか?」という質問では、システムフレンド 朝山氏が「ニッチな商材のお客様が、facebookのアカウントを作られたところ、海外の方から好意的なコメントが次々とついていました。facebook上に在庫を表示するアプリを導入したところ、そちらも好評でした。」と話し、マシュマロ専門店やわはだ 木鋪氏も「まずfacebook、twitterはアカウントを解説しています。新商品を紹介すると海外の方からコメントがすぐつくので、そこからヒントを得ることもあります。」と、SNSの可能性について語りました。

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最後に、これから越境ECを始める方に向けてメッセージを求められると、マシュマロ専門店やわはだ 木鋪氏が「マシュマロという売りにくい商材でもなんとかやっています。がんばってください!」とエールを送り、システムフレンド 朝山氏も「まずは簡単な方法で、試してみて欲しい。その反応から、何か分かることがあります。」とコメント。
「まず、無料のサービスであるtensoで、どの国に売れるかテストマーケティンとグしてみてください。」とtenso 浜田様が続き、「一番ハードルが高いのが、すべて自社で行う方法。もう少しライトな方法は、ebayやモールへの参入。一番軽いのがtensoサービス。国内向けECサイトのままでtensoを入れ、ペイパルでカゴ落ちを防ぐ形で、海外のお客様にリーチしてみて下さい。」とペイパル 野田氏が締めくくりました。

まとめ

「PayPal×tenso×EC-CUBE海外進出支援セミナー」に参加された方からは、以下のような声をいただきました。

– 越境に関する具体的な事例、データをお伺いすることができ非常に勉強になりました。
– (越境ECを始めるのに)日本語だけのサイトで良いというのは知りませんでした。
– お客様にご紹介するために、配送や決済に関する情報がいただけて、大変参考になりました。

今回のセミナーには、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。

日本国内向けのECサイトであっても、「tenso」と「ペイパル」を利用いただくことで、コストをかけることなく、今すぐ簡単に越境ECを始めていただくことができます。

世界に新しく販路を広げたいとお考えの店舗主様が、この記事をヒントにその一歩を踏み出していただければと願っています。

■ お問い合わせ先
tenso
ペイパル
株式会社システムフレンド

文中に含まれる「株式会社ロックオン」は、2019年8月1日より「株式会社イルグルム」へ商号を変更しました。

ライタープロフィール

ネットショップの壺編集部
ネットショップオーナーや運営担当者のためのお役立ち情報を発信し、世の中のECをより活性化するべく、日夜情報収集に励んでいる。