売り手・消費者・地域社会の“三方よし”でうまくいく!SNS時代の新しい社会貢献の形

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近年SNSの普及が急速に進み、口コミやショップの想いが、よりユーザーに届きやすくなりました。
それに伴い、ユーザーの購買行動も、ここ数年で変化しています。

大半のユーザーが購入前に、検索サイトやSNSで、買おうとしている商品について情報を調べているといわれています。
価格の安さや送料無料といった利便性だけはなく、価格に見合った商品であるかどうか、その商品を購入してどんなメリットを得ることができるか、また、作り手や売り手が商品に込めた”想い”や”共感”も、購買行動に大きく影響するようになりました。

そんな中、SNSを通して顧客との関係性を深め、エンゲージメントを育てる施策の1つとして、社会貢献型ECサイトがひそかに注目を集めています。

海外の事例

靴をオンラインで販売するECサイトTOMSでは、シューズを1足買うと、途上国の子供にも1足贈られる「One for One」を実施しています。
創業者のブレイク氏は、途上国の靴すら購入できない子供たちを助けたい、守りたいという想いから、『あなたが靴を1足購入するたびに、TOMSから子ども達に新しい靴が贈られます。』というコンセプトの TOMS カンパニーを設立したそうです。

また、新たな挑戦して、視覚障害者への貢献も行っています。
『TOMSのアイウエアを1つ購入すると、ギビングパートナーを通して視覚障害を持つ1人の視力を回復させる援助を行う。』がコンセプトとして紹介されています。

TOMSは顧客をただの消費者ではなく、恩恵人(ベネファクター)に変えることで、新たな価値を提供しています。
この価値が顧客の購買動機を促進し、さらには社会貢献をし続けるリピーターへと育てることに成功しているのです。

別の事例として、Tシャツの専門店Sevenlyでは、2012年に7日間限定の寄付付きTシャツを販売しました。
購入したTシャツ1枚につき7ドルがNPO・NGOに寄付される仕組みとなっており、たった半年で売上枚数25,000万枚、175,000ドル もの寄付金を集めるという、競合他社に対しても群を抜いた実績を残しました。

この成功要因の1つは、社会貢献に対する徹底した想いを顧客に伝えられたこと。
もう1つは、Tシャツの販売期限を期間限定にすることで、顧客を飽きさせなかったところです。

毎週月曜朝10時に新しいコラボ商品を発売し、一週間の販売期間が終わると、売上枚数×7ドルをコラボした団体に寄付しています。
「期間限定」「社会貢献」という、購買行動を引き起こす”きっかけ”と”価値”を提供し、顧客のエンゲージメント育成に成功しました。

日本での事例

京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN(ジャミン)」は、1週間限定のデザインTシャツで、NPOへの寄付を集めています。

「フローレンス」や「カタリバ」、「Homedoor」をはじめ70を超える団体とコラボレーションし、300万円以上を寄付した実績をもっています。
コラボレーションした団体の発足理由やTシャツ誕生までのストーリーなど、購入者が団体の活動を深く知れるコンテンツを通して、売り手の想いを消費者に伝えている様子は、コンテンツマーケティングとしても参考になります。

猫の殺処分ゼロを目指して、保護猫カフェなどの事業を展開する「ネコリパブリック」では、猫をモチーフにした雑貨や猫用品の売り上げによって、保護された野良猫の飼い主探しを行う猫カフェを運営しています。
SNSで支援者を募り、クラウドファンディングを実施し、現在も活動の輪を広げています。

ネコリパブリックの特徴として、SNSやクラウドファンディング、ネットショップといった活動すべてを通して、顧客参加型のコンテンツを用意していることが挙げられます。

ネコリパブリックにいる猫の人気投票や、商品購入者の猫の動画募集、クラウドファンディング実施後のパーティなど様々な企画を通して、寄付活動に参加すること自体に楽しみを感じてもらえる工夫をしていることが感じられます。

まとめ

個人の力では解決することが難しい社会問題ですが、SNSが浸透した今、ECサイトを通して個人の社会貢献が実現できる社会貢献型ECサイトはますます増えていくのではないでしょうか。

商品を売るだけでなく、寄付をする・社会貢献をするといった体験を売ることで、顧客が価値を見出だす。
この体験を通して顧客とのエンゲージメントを深め、リピーターや根強いファンになってもらうことが可能です。

これまでの単なるオンラインショッピングが、売り手・消費者・地域社会の三方向に意味ある、価値ある活動と変化しています。

ライタープロフィール

ネットショップの壺編集部
ネットショップオーナーや運営担当者のためのお役立ち情報を発信し、世の中のECをより活性化するべく、日夜情報収集に励んでいる。

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