ベンダー企業のジレンマ 経済産業省 DXレポート2.1から
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ネットショップの壺のユーザー様はEC事業者(ユーザー企業)と弊社のようなベンダー企業の読者も多いと思います。
経済産業省は2020年12月に「DXレポート2(中間取りまとめ)」を公表し、「ユーザー企業とベンダー企業における共創の推進」が必要であると指摘しました。
新たに、2021年8月に公表した、DXレポート2.1で指摘していた、ユーザー企業とベンダー企業の現状と変革に向けたジレンマを読んで、我々のようなベンダー企業が今後、事業を推進していく上で考えなければならない所感をブログにしてみました。
デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』
この中で、共創関係を築いていかなければならない、ユーザー企業とベンダー企業には変革に向けたジレンマが存在している。
- ユーザー企業はITをコストと捉え、ベンダー企業を競わせることでコスト削減を実現
- ベンダー企業は労働量に対して値付けを行うことで低リスクのビジネスを実現している
上記を踏まえ、これらの関係性は「低位安定」という強烈な言葉で表現していました。
確かに我々ベンダー側から見れば、コンペは日常茶飯事ですし、EC-CUBEや他のカートとのコンペならまだしも、EC-CUBEパートナー同士が競合になっていることも多く見受けられます。
また、ベンダー側も開発者の工数に依存した見積が当たり前になっており、既にあるものを組み合わせて実現するのではなく、全てを作り込む(構築工数が増える)提案を実施する傾向にあります。
デジタル産業を目指す企業の3つのジレンマ
1)危機感のジレンマ
目先の業績が好調のため変革に対する危機感がない。投資体力があるうちに変革を進めていくことが重要であるが、危機感が高まったときはすでに業績が不調であり、変革に必要な投資体力を失っている。
2)人材育成のジレンマ
技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっている。即座に新技術を獲得できる人材は引き抜かれてしまう。
3)ビジネスのジレンマ(ベンダー企業)
受託型ビジネスを現業とするベンダー企業が、ユーザー企業のデジタル変革を伴走支援する企業へと変革しようとすると、内製化への移行により受託型ビジネスと比べて売上規模が縮小する。
また、ベンダー企業がユーザー企業をデジタル企業へ移行する支援を行うことにより、最終的には自分たちが不要になってしまう。
特に注目すべきポイントは、「3. ビジネスのジレンマ(ベンダー企業)」かと思います。
ベンダー企業はユーザー企業からの依頼を受け、それを実現することを主目的としていますが、
そもそもこれまでは共創関係として考えられていないことに原因があります。
EC構築においてもこのポイントは非常に当てはまり、まずプロジェクトのゴールをサイトの制作に置きがちです。ECを立ち上げたり、リニューアルするだけで売上が上がるようなものではありません。(オペレーションが効率的になるのは比較的分かりやすい成果としてあげられます)
そのような場合において、最も重要なのは「何を作るのかではなく」「何のために作るか」ではないでしょうか。
我々ベンダー側はしっかりとお客様のビジネスを理解し、それらを踏まえた上で要件・仕様を取りまとめる。そこを疎かにしてお互いに作り込むところだけにフォーカスしているようなプロジェクトが多いように思います。
そこがメインになると工数に目が行きがちで、ユーザー企業は少しでもコスト削減できるベンダーを選びがちになるでしょう。
本当の意味で、共創型関係を実現していくためには、両社のビジョンや共感が非常に重要であると指摘しているこのレポートはぜひ皆様にも読んでいただきたいと思います。
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