ネット通販事業大手が物流を強化するわけ

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2014年、事業会社のECサイト買収が話題になりましたが、
その陰で、大手EC企業の物流強化の流れが起きていました。

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2014年以前は以下の記事などがあります。

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個人的には、EC企業の物流強化の流れには興味があり、今後の流れを考えてみたいと思います。

 

ネット通販における物流がしめるコスト構造

ネット通販事業のコスト構造を考えてみましょう。
ざっくりと、変動費と固定費にわけると下図のようなイメージになります。

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変動費を改善するのは、仕入れ先や競合との関係もあり、自分だけが改善するのは難しいでしょう。
一方、固定費の倉庫家賃や人件費などは、システムに投資するなどして、自力での改善の余地が大きいといえます。

仮に売上が月間10億円以上になるようなサイトの場合試算してみると
在庫回転率=3ヶ月とすれば、在庫は30億円ほど必要
出荷件数=購入単価1万円・月間20日稼働とすれば、1日の出荷件数は5000件・・・

ちょっと大きすぎてイメージわきませんが、かなり大きな倉庫と、10秒に1件くらいのペースで出荷していくスピードが求められるということになります。

10秒に1件くらいのペースで出荷するレベルになると、工場の生産ラインのような自動化がイメージできるでしょう。

 

家電量販店が稼ぐポイント

家電量販店が稼ぐ方法は保証と仕入れの2つといわれています。

保証とは、家電を購入した時についてくる、3年保障とかの保証です。
500円位ならいいかなと保証を組み合わせて買う人もいるようですが、今の家電は3年以上の耐久性もありますし、仮に壊れても、保障が使われる頻度が少ない様なのです。
保証は売れば売るだけ儲けになるのです。

仕入れに関しては、仕入れ量を大きくすることで、仕入れ価格を下げる交渉し、儲けを出すことです。
100個で買うより、1万個買った方が、1つあたりの仕入れ価格を下げることができる可能性が高くなります。

つまり、家電量販店は売上から儲けを出すのではなく、「売上を大きくすることで発生するメリット」から儲けを出しています。

 

物流の合理化で稼ぐネット通販事業大手

すでに起きていることかもしれませんが、今後、大手EC企業は、家電量販店の売上を大きくすることで発生するメリットと同じような原理で、物流の合理化で稼ぐ傾向を強めるでしょう。

変動費にあたる、配送料、決済手数料、マーケティング費用を削減する余地より、物流の合理化で、配送単位当たりのコストを削減する余地が大きく、削減によって得た部分を競合との差別化に使い、優位に立つ戦略を考えているのではないかと感じます。

また、即日配送などを大手EC企業から仕掛けているのも、物流の合理化に目途がたっているので、コスト高にならない程度で可能になっているのでしょう。
むしろ、物流の合理化まで手が回っていない競合他社に差をつけてしまおうという魂胆なんだと思います。

それでは、中小規模のネット通販事業者はどうすべきか?
結論としては、「大手EC企業と同じフィールドで戦わない」ことだと考えています。

ライタープロフィール

山本 稔
山本 稔株式会社アラタナ
株式会社アラタナ 取締役
山本 稔(やまもと みのる)

1978年(昭和53年)2月5日
2008年 リクルートにて営業に従事。
リクルート在籍時代には通期MVPを受賞するなど営業実績を残す
2010年 株式会社アラタナに入社。取締役就任。

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